第275回「リーダーの育成は不可能!?」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第274回「名古屋市長選と大学の無償化」

 第275回「リーダーの育成は不可能!?」 


安田

リーダーの育成は無理ですか?

石塚

はい。出口さんのお言葉ですけど僕も共感しますね。

安田

出口さんってライフネット生命の創業者ですよね。ネットで生保を売り始めた人。

石塚

そうです。日本生命が長かったんですけど。シニアになってから「ネットでもっと安い保険を売る」という目的でライフネット生命を考えられた。

安田

シニアになってから起業して大成功するってすごいですね。

石塚

日本のカーネルサンダースみたいな人です。

安田

その出口さんが言ってるわけですね。リーダーの育成なんて出来ないんだと。

石塚

はい。この方の話は筋が通っていてとても面白いです。リーダーというのは、元からリーダーなんだと。クラブ活動に例えてらっしゃいます。

安田

分かりやすいですよね。どんなに努力しても11秒で走れない人がいるように、リーダーに育てようと思っても育たない人もいるんだと。

石塚

私も全く同じ考えですね。リーダーに向いている人かどうかは、ちょっと話せば分かりますから。

安田

小学生の時点でリーダーの素質って決まってるみたいですね。学校の先生に聞いたことがあります。

石塚

クラス分けはそこを見て決めてますから。

安田

そうみたいですね。クラスごとにリーダータイプの子がバラけるようにするんだって。

石塚

学級委員長になれるタイプをバラけさせるんでしょう。

安田

ちゃんと先生が見てるんですって。この子はリーダー向きだとか、この子はそれをサポートするのに向いてるとか。1クラスに固まらないように編成するそうです。

石塚

ガキ大将タイプとか、優等生タイプとか、タイプは違えどリーダー資質は天性です。

安田

性格や役割って小学生ぐらいでもう決まってるんですね。私なんて給食係しかやったことなかったです。

石塚

動物のお世話係とか(笑)

安田

そうそう(笑)クラスを仕切っていくタイプではなかったです。

石塚

小学生ぐらいになるともう完全に分かれますよ。

安田

小学生ですらそうなのに、なぜ社会人にリーダー研修なんてやるのか。リーダー研修っていつ頃から始まったんですか?

石塚

おそらく戦後の終身雇用・年功序列型賃金からだと思います。

安田

全員が課長になって、部長になって、引退していく仕組み。

石塚

そう。だから向いてない人も学んでもらわなきゃ困るわけですよ。学ぶことで競争が生まれるし。

安田

競争させたいんですか?

石塚

競争が生まれるからみんな頑張るっていう理屈だと思います。

安田

今はどうなんですか。終身雇用もなくなってきて、リーダーに向いてない人にリーダー研修を受けさせるなんて無駄でしかない気がするんですけど。

石塚

無駄だと思うけど今でも盛んですよ。いちばん熱心なのは中小企業の経営者ですね。

安田

中小企業ですか。

石塚

はい。中小企業はすごく熱心です。

安田

それはなぜ?

石塚

いないから。

安田

リーダー資質のある人がいないってことですか?

石塚

そういうタイプは新卒で大手に流れますからね。

安田

なるほど。だから中小企業はリーダー不在の組織になってしまうわけですね。

石塚

おっしゃる通り。

安田

だけどリーダーは必要だ。だったらリーダー研修を受けさせようと。

石塚

ある程度の組織になってくるとリーダーがいないと機能しないから。レベルは低くても何とかリダーの役割を果たして欲しい。

安田

だけど本当にリーダーにはなれないと。

石塚

現場の仕事を真面目にこなしてくれる人はいるんです。だけど組織を束ねて引っ張っていくタイプは本当に少ない。

安田

どうしたらいいんでしょうね。

石塚

外部から引っ張ってくるしかないと思う。向いてない人をリーダに育てるってホント意味がないですから。

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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