2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。
第275回「リーダーの育成は不可能!?」
リーダーの育成は無理ですか?
はい。出口さんのお言葉ですけど僕も共感しますね。
出口さんってライフネット生命の創業者ですよね。ネットで生保を売り始めた人。
そうです。日本生命が長かったんですけど。シニアになってから「ネットでもっと安い保険を売る」という目的でライフネット生命を考えられた。
シニアになってから起業して大成功するってすごいですね。
日本のカーネルサンダースみたいな人です。
その出口さんが言ってるわけですね。リーダーの育成なんて出来ないんだと。
はい。この方の話は筋が通っていてとても面白いです。リーダーというのは、元からリーダーなんだと。クラブ活動に例えてらっしゃいます。
分かりやすいですよね。どんなに努力しても11秒で走れない人がいるように、リーダーに育てようと思っても育たない人もいるんだと。
私も全く同じ考えですね。リーダーに向いている人かどうかは、ちょっと話せば分かりますから。
小学生の時点でリーダーの素質って決まってるみたいですね。学校の先生に聞いたことがあります。
クラス分けはそこを見て決めてますから。
そうみたいですね。クラスごとにリーダータイプの子がバラけるようにするんだって。
学級委員長になれるタイプをバラけさせるんでしょう。
ちゃんと先生が見てるんですって。この子はリーダー向きだとか、この子はそれをサポートするのに向いてるとか。1クラスに固まらないように編成するそうです。
ガキ大将タイプとか、優等生タイプとか、タイプは違えどリーダー資質は天性です。
性格や役割って小学生ぐらいでもう決まってるんですね。私なんて給食係しかやったことなかったです。
動物のお世話係とか(笑)
そうそう(笑)クラスを仕切っていくタイプではなかったです。
小学生ぐらいになるともう完全に分かれますよ。
小学生ですらそうなのに、なぜ社会人にリーダー研修なんてやるのか。リーダー研修っていつ頃から始まったんですか?
おそらく戦後の終身雇用・年功序列型賃金からだと思います。
全員が課長になって、部長になって、引退していく仕組み。
そう。だから向いてない人も学んでもらわなきゃ困るわけですよ。学ぶことで競争が生まれるし。
競争させたいんですか?
競争が生まれるからみんな頑張るっていう理屈だと思います。
今はどうなんですか。終身雇用もなくなってきて、リーダーに向いてない人にリーダー研修を受けさせるなんて無駄でしかない気がするんですけど。
無駄だと思うけど今でも盛んですよ。いちばん熱心なのは中小企業の経営者ですね。
中小企業ですか。
はい。中小企業はすごく熱心です。
それはなぜ?
いないから。
リーダー資質のある人がいないってことですか?
そういうタイプは新卒で大手に流れますからね。
なるほど。だから中小企業はリーダー不在の組織になってしまうわけですね。
おっしゃる通り。
だけどリーダーは必要だ。だったらリーダー研修を受けさせようと。
ある程度の組織になってくるとリーダーがいないと機能しないから。レベルは低くても何とかリーダーの役割を果たして欲しい。
だけど本当にリーダーにはなれないと。
現場の仕事を真面目にこなしてくれる人はいるんです。だけど組織を束ねて引っ張っていくタイプは本当に少ない。
どうしたらいいんでしょうね。
外部から引っ張ってくるしかないと思う。向いてない人をリーダーに育てるってホント意味がないですから。
石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。
安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。