第274回「名古屋市長選と大学の無償化」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第273回「外圧でしか変わらない日本の頭」

 第274回「名古屋市長選と大学の無償化」 


安田

名古屋市長に現役大学生が出馬?したんですか。

石塚

はい。これは面白いですよ。

安田

名古屋の市長って誰ですか?

石塚

河村たかしですね。

安田

あのメダルを噛んじゃった人?ちょっとガラの悪い。

石塚

そうそう。最初の頃は「既存の常識を打ち破るぞ」って感じだったけど。任期が長くなるとだんだん権力に執着しちゃうから。だんだん河村たかしの弊害が出てきてる。

安田

そこに現役大学生の西田さん方が、「大学と専門学校の学費無償化」を訴えて立候補すると。いまや学生の2人に1人が奨学金ローンを抱えているそうですから。

石塚

はい。かなり深刻な問題です。

安田

半分以上が借金を背負ってるって、異常ですよね。

石塚

じつは西田さんの政策はネット民の批判がものすごく多いんです。

安田

え!どうしてですか?

石塚

理由は明確ではないんですけど。けっこう辛辣なコメントが並んでます。バカだとか。市の職員の給与200万削って捻出できるわけがないとか。

安田

財源に無理があると。

石塚

そうなんですけど。でも、そっちじゃなく「20代そこそこで選挙に出て訴えたい何かがある」っていう、その姿勢を見てあげて欲しい。

安田

ですよね。20代の学生ですからツッコミどころもあるんでしょうけど。自分の手でやろうとして行動すること自体が素晴らしいですよ。

石塚

いや、本当。もし僕が名古屋に住んでたら一票入れたいと思う。彼の主張と行動に敬意を表したいなと思いますけどね。

安田

そう思います。

石塚

本当は言いたいことがあるけど、黙って現状を受け入れる20代が多い中で。冗談じゃねえぞって。みんなしっかり受け止めてあげた方がいいと思う。

安田

でも確かに財源として市職員の給料を1人200万削るっていうのは。どうなんでしょう。200万削ると生活できない人がいっぱい出てきそうですけど。

石塚

出てきそうですよね。

安田

市の職員とその家族はこの人には一票も投じないでしょうね。

石塚

でしょうね。

安田

結局、「また河村さんか」みたいになるんじゃないですか。なかなか、こういう人を受け入れる土壌が日本にはないですよ。

石塚

残念ながらないですね。

安田

私も25歳で起業しましたけど、行動を起こす人ってある意味バカなんですよね。

石塚

はい。

安田

バカで無知だから出来てしまう。

石塚

「はい」って言っちゃいけなかった(笑)

安田

いや本当のことですから。バカで無知な人がついうっかり起業しちゃうんです。本当に頭がいい人は自制する。

石塚

そうですよね。

安田

選挙に出るのは立派なんですけど、この人が市長になれる土壌があるなら、もっと優秀な人が今までにも出てきてると思う。

石塚

頭がいい人は計算しちゃうからね。

安田

そうそう。「散々叩かれて、どうせ落とされていく」という結果が、頭がいい人には見えちゃう。

石塚

だけど「気に入らないことは気に入らないと言いたい。僕は納得してないぞ!」って、このシンプルな気持ちは大事にした方がいいと思う。

安田

まさに今の日本に足りないものですよ。

石塚

この出来事は今の日本をすごく象徴してる気がして。「大学を無償化しろ」っていうと、昔のイメージしかない人が「一生懸命バイトしろ」とか言うわけですよ。日本の普通の家庭で大学に行かせることがどれほど難しくなったのか、分かってない。

安田

やっぱり大学は無償化した方がいいんでしょうか?行ってもしょうがない大学もある気がするし、行っても全然勉強しない学生もたくさんいますけど。

石塚

僕は無償化するのは賛成。ただ学校ではなく個人に給付を当てたらいいと思う。出す条件として「何をやりたいのか」をちゃんと書類と面接で見て、あなたに3年で400万給付しますと。ただし毎年2回報告に来なさいと。

安田

いいですね。ちゃんとした意志と目的を持っている人なら大学に行く価値があると。

石塚

その通りです。逆に言えば就職のための肩書作りに何百万も投資しても意味がない。

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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