2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。
前回は 第285回「竹中平蔵の功罪」
第286回「2027年に日本企業は生まれ変わる!?」
安田さん知ってましたか。2027年になると20〜30代の社員比率がどんどん上がるって。
え?どういうことですか。
なぜかって言うと、 2027年までに今の50代、60代が一斉に退職していくんですよ。
なるほど。その下の層はあまりいないですもんね。
おっしゃる通り。その下は氷河期世代で中間層が割と少なめ。だから団塊ジュニア層が退職したら「いつの間にかウチの会社20代、30代ばっかじゃん」っていう。
それは面白いですね。
日本人の平均年齢は下がらないけど会社員の平均年齢は一気に下がる。会社って一応60歳が定年で、さらにその前に役職定年で肩叩きしてるから。
その転換点が2027年だと。
そうなんですよ。2027年以降はどの会社も20代30代が中心になってくる。
それは大企業も?
大企業の方が顕著でしょうね。つまり2027年で本当に昭和が終わるんですよ。
2027年なんてあっという間じゃないですか。あと3年ですよ。
あっという間です。だからうちの子供にも言ってるんですよ。「お前らが会社で働く頃は若手ばっかりになってるよ」って。
実感が湧かないんですけど。あとたった3年で。
現実問題としてそうなるんです。大手はシニアなんて雇用しないから。若手だらけになる。
そしたら、どういうことが起こるんですか?
そこがいちばん大きな課題ですね。2027年から会社の年齢構成が一気に変わる。さてどうする?って。
経営は誰がやるんですか。さすがに20〜30代の社員では無理でしょう。
そこも問題ですよね。経営層及び経営陣は旧態依然なのか。それとも一気に進めて若返りさせるのか。
大企業は初任給を引き上げていますよね。30万ぐらいまで。それもこの一環ですか。
おっしゃる通り。とにかく優秀な若手層を確保したいんです。次のステージを睨んで。
でも新卒って2〜3年で辞めちゃうじゃないですか。
2年、3年で全員が辞めるわけじゃないじゃない。大手の場合は3割減っても7割は残る。
7割が残ってくれれば十分だと。
7割どころか、むしろ「いい人が2〜3割でも残ってくれたら十分」と思ってるんじゃないですか。
それで元が取れますかね。
大企業は十分元が取れます。0→1で事業を作れる優秀な人間を10%ぐらい確保しとけば勝てるから。
なるほど。もしかしたら明治維新の時みたいに、20〜30代が中心になって大企業を変えていくかもしれませんね。一気にものすごいイノベーションが起こるかも。
そこに賭けたいですね。寿司屋でも昔は若手が掃除ばっかりやらされたじゃないですか。これからは「研修終わったらお前いきなり握れ」って言われて。そりゃやる気出るでしょう。
確かに。
大企業でも部長や本部長や子会社の社長に、ガンガン若手を登用するようになったら、事業構造が一気に変わりますよ。
変わりそう。
昭和的なことばかり言う人もみんな会社からいなくなるし、めちゃくちゃ若くて元気な社風になるかもしれない。
もしかしたらベンチャーより平均年齢が若い大企業が生まれたりして。
そうなったら大企業って強いですよ。余計なことを言う上の層がいなくなり、大企業のブランドと技術と資金力を若手の優秀な人材が引き継げば、一気に変わる可能性がある。
めちゃくちゃ楽しみですね。でも現実問題としてどうなんでしょう。一気に若返りを狙うのか。それとも今の経営陣が居座り続けるのか。
そこは会社の判断になると思います。ただ居座るような人がいたとしても、これだけ人数比率が変わってくると、会議でも全然風向きが変わってくるじゃないですか。
確かに。東南アジアみたいに20〜30代がカルチャーの中心になっていきますよね。
それって素晴らしいことだと思いませんか。
氷河期に「あまり採用しなくて良かった」ってことになるわけですね。
おっしゃる通り。逆に言うとバブル後の世代ってほんとに切ないですよ。いちばん悪いところばっかり引き受けさせられて。
石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。
安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。