2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。
前回は 第286回「2027年に日本企業は生まれ変わる!?」
第287回「サイバーエージェントの世代交代」
サイバーエージェントの藤田さんが2026年に社長を辞めるそうです。
新社長を社内から起用するとおっしゃってますね。
孫さんもユニクロの柳井さんも同じようなことをやりましたけど、結局戻ってきましたよね。藤田さんはどうなると思いますか。
僕は、潔く身を引くと思います。
新社長に経営を譲ってそのまま辞めていくってことですか。
と思います。オーナーとしてサイバーエージェントとどう付き合うかは別ですけどね。
孫さんや柳井さんは辞めると言いながら戻ってきましたけど。
藤田さんはそうならないと思います。
そう考える根拠はあるんですか。
サイバーエージェントという会社はリクルートをよく研究して作られていまして。
そうなんですか。
はい。特にリクルートの社風をすごく意識していると思います。若手を抜擢して配置したり、事実上45が定年みたいな形を作ったり。
へえ〜。
さらにリクルートモデルの唯一の欠点である「社長経験をなかなか積めない」という部分を改善してる。
どうやって改善してるんですか。
サイバーエージェントには山ほど子会社があって、 1年目、2年目から子会社の社長や経営陣をやらせるんですよ。
すごいですね。だから後継者も育っていて潔く辞めていけると。
リクルートを見ているので辞めると思います。リクルートは創業者をはじめ歴代社長がみんな引いていくじゃないですか。
逆にだんだん若返ってますよね。
そうなんですよ。今、本体のホールディングスの社長は45過ぎで、子会社の社長は36、7。
サイバーエージェントもそれぐらい若返らせるんでしょうか。
僕はそう思います。一気にふたつぐらい下の世代に入れ替えるつもりじゃないでしょうか。
確かにサイバーエージェントってリクルートに似てますね。新卒の人気も高いし、人を育てるのがすごく上手だし、サイバーエージェント出身で活躍してる起業家も多いし。
サイバーエージェントの唯一の欠点は「本体の社長に永遠になれない」ってことだったわけですよ。
なるほど。それを今回「本体の社長もやらせるよ」って宣言したわけですね。
その通り。
自分で起業するしかなかった優秀な人材が、これからは本体の社長を目指すようになると。
今の経営陣は藤田さんを入れて5人なんですけど、この5人でもう20年ぐらいやってるわけです。 新しいことを全く違う角度からやる人が欲しいんだと思います。
なるほど。自分たちではそれは無理だと思ってるわけですね。
でしょうね。だからこの話なんですよ。
だけど辞めたら退屈になりますよ。藤田さんって仕事が好きそうだし。
おそらく自分でまた新しいことを始めると思います。
そう簡単にこれだけ大きな会社は作れないですよ。物足りなくてまた戻ってくるかもしれない。
若いんでね。彼は。
何歳でしたっけ?
藤田さんは1973年5月生まれ。満50歳ですね。
若いですね。つまり10年かけて後継者を育てて60歳で辞める予定だと。
その通り。上場したのが確か25〜6歳でしょ。ちょうど四半世紀経ったわけですよ。
とは言えまだ60歳ですからね。オーナーとして裏から実権を握るとか。
藤田さんってちょっと普通の人とは違うから。院政敷いてるイメージはないです。
本当に潔く辞めて世代交代したらすごいですね。ちなみに石塚さんの予想としては何歳ぐらいが次期社長になると思いますか。
35か6。
ということは今25、6の人ってことですよね。その世代が社長になったらベンチャーの高齢経営者はみんな焦るでしょうね。10年後がとても楽しみです。
石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。
安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。