この記事について
2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。
前回は 第297回「JALとANAの未来について」
第298回「早死にする職業ランキング」
安田
早死にする職業ランキング?そんなのがあるんですか。
石塚
あるんですよ。ブラック企業だけが人を消耗させるわけじゃないっていう。
安田
1位はなんと零細企業のSEプログラマー。確かにこの業界はどんどん中抜きされて、末端でやる人への皺寄せがすごいです。薄給で仕事が終わるまで帰れないとか。
石塚
安田
いきなり現場に送り込まれて「ひたすら一人でプログラミングする」みたいな。
石塚
そうそう。睡眠時間も少ないし、徹夜は多いし、そして運動不足。それは早死にしますわねって感じ。
安田
2位は広告代理店営業。広告代理店の営業って、いまだに飲みニケーションが続いてるんですか。
石塚
安田
自殺問題とか過労死問題とか色々あって改善されたと思ってました。
石塚
根本的には変わってないですね。管理職が多層化構造になっていて。たとえば安田さんがマネージャーだとするじゃないですか。直の上司って何人いると思います?
安田
石塚
安田
石塚
元は4人いたんです。減らして3つになったんですよ。次長、部長、局長って、三層あるんです。これが自分の直のレポートライン。
安田
石塚
おっしゃる通り。例えばある会社がテレビドラマのスポンサーをやってたとする。それで視聴率が悪いとしますよね。
安田
石塚
すぐLINEとかメールに来ますよ。「石塚!何やってんだ」って。局長からも来るし、部長からも来るし、次長からも来るし。おい、勘弁してくれよっていう。
安田
石塚
この心理的な圧迫感がね。たぶん早死に繋がってると思う。
安田
なるほど。で、3位がタクシーの運転手さん。これは想像できます。ずっと座ったままで腰が痛くなったり。
石塚
あとはどうしてもトイレを我慢するから。腎臓に負荷がかかるんですよ。
安田
石塚
年を取ってくるとトイレに行く回数が増えるじゃないですか。それを我慢するっていうのは大変ですよ。
安田
この前トイレに駆け込んでるタクシードライバーを見ました。もっと早く行けばいいのにって思ったんですけど。
石塚
行けないんですよ。遠距離のお客さんを乗せたら我慢するしかない。
安田
「ちょっとトイレ行ってきます」とかお客さんに言えないですもんね。
石塚
安田
だから我慢しちゃう。そりゃ体に悪そうだ。そして4位が外食の雇われ店長。
石塚
これは名ばかり管理職という問題で。数年前に日本マクドナルドで判例が出ましたよね。
安田
石塚
店長ってのは名ばかりで。現場の補充ばかりやらされるんですよ。だけど店の責任や数字の責任は全て店長に来るから。「石塚、何やってんだお前」みたいな。
安田
石塚
もう当然ですよ。そんなのは。顧客のクレームにも対応しなくちゃいけないし。
安田
そして5位はエリート官僚っていう。悲しい結果になってますね。日本国のために命を削って残業してるのに国民からは尊敬もされないし。
石塚
労働環境も悪いですよ。夏に霞が関で打ち合わせしたことありますか?
安田
石塚
28度以下は絶対にダメだから。もうね、熱くてたまんない。
安田
日本のために頑張ってるんだからエアコンぐらい効かせてあげればいいのに。
石塚
官僚は今どんどん辞める人が増えてます。アナウンサーもそうだけど。
安田
昔は「優秀な人ほど辞めない」という図式でしたけど。だいぶ変わりましたね。
石塚
今は優秀な人ほど健康重視ですよ。体を壊す、精神を病む、という職場には見切りをつけます。
安田
石塚
昔みたいに優秀な人が「リゲイン飲んで24時間働くぞ!」って時代はもう終わり。常識が変わったことを早く受け入れないと。
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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。
安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。