この記事について
2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。
前回は 第310回「大手は新卒を2回に分けて採用する」
第311回「人口移動で消滅する街」
石塚
コロナで地方に移住する人が増えたイメージありませんか?
安田
石塚
でも統計を取ってみると大都市流入率が圧倒的に多くて。
安田
コロナ前は東京に一極集中してると言われてましたね。
石塚
東京、大阪、名古屋、福岡ですね。この流れがもう止まらない。
安田
そうなんですね。リモートワークが増えていますし、都心部は土地も物価も高いから、地方移住が増えているイメージでした。でも現実は違うと。
石塚
特に女性の転入率がすごく高いみたいで。僕もびっくりしました。
安田
石塚
安田
石塚
安田
石塚
安田
石塚
そうなんですよ。地方で結婚する人が減るから出生率も減る、人口もどんどん減っていく。
安田
東京都の特殊合計出生率は1を切ってるそうです。適齢期の女性が平均して1人も生まない。だから東京に若い女性が増えても日本の人口は増えない。
石塚
安田
あっという間に5000万人くらいになってしまいそうですね。
石塚
あっという間でしょう。あと、資産もどんどん都市部に集まってます。
安田
石塚
親御さんが亡くなると相続が発生する。でも相続をする人は大都市圏に住んでいるから、どんどん資産も大都市圏に流入するってことです。
安田
なるほど。地方の資産を首都圏にいる子供が引き継ぐから。
石塚
そういうことです。地元には空き家だけが残っていく。
安田
資産価値のあるものは都心部に流れる。ますます都心がリッチになっていくわけですね。
石塚
そうなんですよ。地方でお金を使う人がどんどん減っていく。だから能登半島の大震災もいまだに復興してないわけですよ。
安田
復興が遅れた影響でどんどん亡くなる人が増えているみたいです。もう元に戻す気がないってことですね。石塚さんのおっしゃるように。
石塚
としか考えられないですね。本当に気の毒なんですけど。僕も実家が2回被災してまして。2004年と2007年に。
安田
石塚
新潟の柏崎市なんですけど。中越地震と中越沖地震が直撃だったんです。
安田
石塚
でも、これくらいの時期にはもう復興してました。一気にみんな立て替わって、あっという間に終わっちゃった記憶があります。
安田
もし2024年にその地震が発生してたら、石塚さんの故郷がなくなっていたかも。
石塚
復興予算が執行されてない可能性が高いですね。で、諦めた層から新潟市とか隣の長岡市に転出してるでしょう。
安田
テレビには「早く戻りたい」というお子さんたちが出てきますけど。実際には多くの人が離れていってるってことですね。より都心部に移動していると。
石塚
離れざるを得ないですよ。インバウンド観光で成り立つ地方都市以外はもう難しい。
安田
引っ越してでも「そこで働きたい」という魅力がないと難しいですよ。そこで生まれたお子さんだけで成り立たせようなんて絶対無理で。
石塚
安田
あの竹富島でさえ「島で生まれた子はみんな出て行く」って言ってましたから。
石塚
自分の若い頃を思い出したらそうなりますよ。色々経験して40代、50代になってきたら「ここで人生終えるのもいいかもね」ってなるでしょうけど。
安田
つまり生き残る地方都市は、インバウンド観光として魅力があって、尚且つそこが好きな人たちが集まってくる場所じゃないといけない。
石塚
かなりハードル高いですよ。マクドナルドの創業者、藤田田さんは「女性に支持されない商品、サービスは滅びる」と言ってました。若い女性の転出率が高いってことは、そこに魅力が乏しいってことなのかもしれません。
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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。
安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。