第341回「60代シニアが1000万円稼ぐ時代」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第340回「サイゼリヤの凄さについて」

 第341回「60代シニアが1000万円稼ぐ時代」 


安田

バンダイが61歳以上の再雇用で報酬を引き上げるそうです。

石塚

今までの再雇用って半分ぐらいに減らされてたんですよ。それが元に戻るって話ですね。

安田

平均で58%引き上げるそうです。すごいですよね。

石塚

ただ一律ではないと思う。定年前より増える人と減る人と二極化するでしょうね。

安田

定年前より増える人もいるんですか?なぜ急にシルバー人材に優しくなったんですか。

石塚

単純に人手が足りないから。この先さらに人手が足りなくなることをバンダイは読んでる。

安田

バンダイといえども足りませんか?

石塚

特徴あるクリエイティブな会社ですけどバンダイでさえ人手が足りないんだと思います。あのスターバックスでさえ人手不足だって話ですから。

安田

え!スターバックスは人手不足にならないって、石塚さんのお墨付きでしたけど。

石塚

訂正します。最近一部店舗で人が足りないそうです。スタバでさえこれです。

安田

ついに労働力不足がここまできましたか。

石塚

おっしゃる通り。スターバックスって何店舗あると思います?

安田

2000ぐらいですか?

石塚

さすが安田さん。2000店舗弱です。スタッフは基本20代中心のルックスのいい男女でしょ。

安田

そういうイメージです。

石塚

しかもスタバって属人的なコミュニケーション能力を武器にしてるから。足りませんよね。誰でもいいってわけにいかない。

安田

スタバでさえそうなるんですね。もう普通の飲食店は悲鳴が上がりそう。

石塚

おっしゃる通り。だからバンダイは先手を打っているわけですよ。

安田

この先、絶対足りなくなると。

石塚

絶対足りないと思います。最近またガチャガチャが流行ってるじゃないですか。大人も楽しんだりしてゲーセン行くとすごい面を取ってますよね。

安田

すごいですよ。地方の大型スーパーにもたくさん並んでます。

石塚

あれバンダイのカプセルトイ事業って言うんですが、結構でっかくやってるんですよ。そうすると当然人手がいりますよね。

安田

現場仕事も社員がやるんですか?

石塚

全て社員がやるわけじゃないとしても外注も含めてかなりの人手が必要ですよ。

安田

そこを見込んでのシルバー人材ですか。

石塚

そこに限らないでしょうけど。人手が足りないんですよバンダイも。

安田

これまでは「60歳を過ぎても雇用しなさい」という国策で再雇用してきましたけど。これからは各企業が積極的にシルバー人材を雇用するようになりますか? 

石塚

優秀なシニアの争奪戦をまず社内でやるでしょうね。

安田

社内で?「そっちの部署でいらないならウチでもらうよ」みたいな。

石塚

おっしゃる通り。今60代前半の就業率って96%もあるんですよ。60代後半でも89%。

安田

そんなに?

石塚

安田さんだって働いてるじゃないですか(笑)

安田

確かに(笑)この先の労働力不足を考えると75歳ぐらいまで働くことになるんですかね。

石塚

なるでしょう。働かないとこの物価高で生きていけないし。供給バランスを考えても75歳ぐらいまで働いてもらわないと国が回っていかない。

安田

企業はシルバー人材にどれくらいの報酬を払うんでしょうか。

石塚

優秀な人はかなり上がっていくと思います。人事制度を作り変えて囲い込んでいくでしょうね。

安田

定年前より引き上げるケースも出てくると。

石塚

現場スキルが高い人材はあり得るでしょう。とにかく回らなくなるってことを避けたいんですよ。大企業は。

安田

大手はあっという間に無人化していくのかと思ってました。

石塚

そう簡単にはいかないでしょうね。二極化していくと思いますよ。

安田

バンダイは58%引き上げると平均1000万円くらいにはなりますか?

石塚

もちろんなるでしょ。バンダイですから。

安田

つまり60代70代でも1000万ぐらいで稼げる人が増えていくと。

石塚

45歳以降の働き方によるでしょうね。現場でスキルを磨き続けた人は1000万円くらい稼ぐと思います。現場感ゼロのホワイトカラーは厳しいでしょうけど。

安田

下手に出世するより現場にしがみついたほうがいいってことですね。

石塚

おっしゃる通りです。

\ これまでの対談を見る /

石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

感想・著者への質問はこちらから