第351回「大学はどうなっていくのか」

この記事について

2011年に採用ビジネスやめた安田佳生と、2018年に採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第350回「現場から人がいなくなる時代」

 第351回「大学はどうなっていくのか」 


安田

小学生レベルの大学生? 

石塚

だって小学生でしょ。大学で四則演算から始めるとか。

安田

四則演算って「足す、引く、掛ける、割る」?

石塚

そうですよ。それを大学でやるんかい!って。

安田

確かに小学校レベルですね。なぜこんなことになっているんですか?

石塚

定員割れを起こしてるから。正直誰でも入れるんですよ。

安田

足し算、引き算ができなくても?大学に入れてしまうと。

石塚

そう。それでも1次募集では埋まんないから。2次募集をかけるんですよ。

安田

なんと。

石塚

だから「おい、お前そんなことも知らないのか?」っていうレベルの生徒が入ってくる。先生たちはその生徒のフォローが大変で。

安田

もう末期的ですね。

石塚

そうなんですよ。

安田

こういう大学を卒業することに意味はあるんでしょうか?当然、授業料はかかるんですよね。

石塚

もちろん。それでも大卒の肩書を得たい人がいるってことでしょう。

安田

私も他人のことは言えませんけど。アメリカの大学で分数からやり直したので。おかげで微分積分まで理解できるようになりました。

石塚

え!本当ですか?

安田

はい。日本の学校って1回躓くと取り返しがつかないように出来ていて。基礎からやり直せて助かりました。

石塚

なるほど。でも安田さんの行かれたのって80年代ですよね?

安田

1983年ですね。

石塚

今とは事情が違いますよ。

安田

確かに。暗記とか暗算とか必要がなくなりつつありますよね。

石塚

たとえばこれが通信制高校だったらアリだと思うんですよ。不登校で基礎を学べなかった子にそういう場を作ってあげて。

安田

いいですね。

石塚

基礎を教えるのが上手って人もいるから。そういう人の動画をスマホで見れるようにして。実際N校ってそういうノリらしいですから。

安田

N校は今や日本一大きな高校ですからね。

石塚

そう。安田さんのような子供がやっぱいるから。とくに今は不登校とか。

安田

どんどん増えているみたいですね。

石塚

だから通信制の高校でやったらいいと思う。大学でやる必要性を感じない。

安田

ちなみにFランと言われる学校でも大卒になっておくメリットはあるんですか?

石塚

新卒一括採用の時に大卒かどうかで区別されるから。でも正直、今は大卒よりスキル持ってる専門学校生に大企業が殺到していますね。

安田

無理して大卒になる必要はないと。

石塚

そう。そんなの大学を出るよりも、何かの専門性を身につける方がよっぽどいいと思う。

安田

大学の無償化とかは意味がないと思いますか?

石塚

国立大とか私立の一部上位校だけに絞ってやるならいい。

安田

そこに入れない人たちはどうしたらいいんですか?それこそ足し算ができない人とか。

石塚

公教育が出来ない部分は民営の通信制スクールでやればいいと思う。そっちを充実させた方がメリットは大きいですよ。

安田

大卒である必要はないと。

石塚

どうしても大卒が必要なら大学も通信制で作ればいい。学費も安いし。

安田

確かにそうですね。要はリクナビ・マイナビに登録できればいいわけですから。

石塚

そうなんですよ。

安田

リアルで残すのは上位校だけでいいですか?

石塚

だって国立大学の初年度納付金が81万円ですよ。国立で80万かかるってどうなのかなと。
もう大学は思い切って整理して。

安田

数を減らして、絞り込んだ大学だけ無償化して。残りは通信制の大学に行くと。

石塚

子供の数が半分になっているのに大学の定員数は倍になっているわけですから。おかしいでしょ。

安田

どこかで破綻するでしょうね。

石塚

だから上位校だけ残して。残りは思い切って通信制に切り替えた方がいい。

安田

通信制って実際どうなんでしょう。生徒のフォロー体制とか。

石塚

手取り足取りだし、フォローもすごくいいって言いますよ。卒業した人たちがみんな言ってます。通信制で良かったって。たまに集まったりもして楽しいらしいですよ。

安田

いいですね。私も今中高生だったらN校に行きたいです。

石塚

僕もそうですよ。必要な学力を身につけるってことなら、もう通信制で十分なんです。何百万も借金抱えて大卒資格を買うなんてどう考えてもおかしいですよ。

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石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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