国を動かす役人、官僚とは実際のところどんな人たちなのか。どんな仕事をし、どんなやりがいを、どんな辛さを感じるのか。そして、そんな特別な立場を捨て連続起業家となった理由とは?実は長年の安田佳生ファンだったという酒井秀夫さんの頭の中を探ります。
第35回 有権者の半分が外国人になる未来

ええ。もちろん宗教観だけでなく、文化や道徳、そして安田さん仰るように言語スキルも学ぶ必要はあります。本当にまず取り組むべきは、「近い将来、日本のかなりの割合が外国人・ハーフの方になる」という事実を受け入れることだと思いますが。

確かに最近、「移民と地元住人のトラブル」のニュース多いですもんね。実際、自分が住む地域で問題が起きれば、心配でたまらないでしょう。とはいえ、できることなら排斥運動も治安の悪化もないままうまくいって欲しいですよね。

もちろんそうですね。ちなみに少し話が変わりますが、「LGBT」についても同じような問題が取り上げられていました。「トランスジェンダー」の男性が銭湯の女湯に入って騒ぎになった件なんですが、ご存知ですか?

そうなんですよ。たとえば普段は「多様性を認めよう!」と言っていた人が、特定の問題に関して極端に排他的な態度をとることはよくあります。あるいは、ネガティブなニュースが増えていく過程で、「やっぱりLGBTは認められない」と意見を変えていくこともある。

そうかもしれませんね。テレビやネットで見ている分にはいいけど、当事者になったときに同じ態度が取れるのか、ということもある。火の粉が降りかかる距離にいながら、「まぁ多様性の時代だからね」と受け入れられるかというと……。

現実的には難しいですよね。個人的には「ルールを遵守した上で、多様性を認める」というのが大前提だと思っています。個人の心のあり方や思想は自由であっていい。でも、それに社会のルールを合わせようとしてはいけないと。

ええ。逆に言えば、そのルール設定が非常に大事になってくるということですよね。そういう意味でいうと、日本の「和を以て貴しと為す」という考え方はちょっと危険なんですよね。「言わなくてもわかるでしょ?」「大人なんだから察してね」ということではなく、ちゃんとルールを設定してそれを周知しないと、想定外の問題が次々と起こるでしょう。

何か要求があった場合、とりあえず主張してみることは彼らからすると普通のことなんですね。ただ、それが日本人から見ると、「なんてわがままなことを言う人たちなんだ」という反応になってしまう。自治体も要望を言われちゃうと、対応しなきゃいけないと思いがちなので、困っちゃうんですよね。
対談している二人
酒井 秀夫(さかい ひでお)
元官僚/連続起業家
経済産業省→ベイン→ITコンサル会社→独立。現在、 株式会社エイチエスパートナーズ、ライズエイト株式会社、株式会社FANDEAL(ファンディアル)など複数の会社の代表をしています。地域、ベンチャー、産官学連携、新事業創出等いろいろと楽しそうな話を見つけて絡んでおります。現在の関心はWEB3の概念を使って、地域課題、社会課題解決に取り組むこと。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。