第59回「学びの常識は大きく変わる。教育サービスの小さなブルーオーシャン」

このコラムについて

小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?

と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。

「学びの常識は大きく変わる。教育サービスの小さなブルーオーシャン」


「塾なのに、教え方の研究はしていない」

良い大学に入り、大手有名企業に就職する。
一つの企業で定年まで働けば、
家が一軒建てられて、老後は安泰。

一昔まえの日本は、
こういう考えの元で、
子どもに勉強をさせる。
つまり、良い大学に入学させるために、
塾に通わせて、主要5科目の
「答え」を暗記させる勉強法でした。


PublicDomainPicturesによるPixabayからの画像

しかし、これからの時代、
特に今の小学生が成人する頃には、
自営業やフリーランスで働く人の割合が
増える可能性の方が高くなるでしょう。

現に、新・学習指導要領では、
主体的な学びを促進する
「思考力・判断力・表現力」の育成を
重視しています。

今回は、これからの時代を
先取りした塾「探求学舎」
をご紹介します。

学習塾のメインストリームは
「受験合格率」を宣伝文句にすることです。
しかし、この「探究学舎」の宣伝文句は
「驚きと感動」を提供することです。

小学生を対象に開催される授業のテーマは
国語や算数といった教科別ではありません。

「宇宙編」「元素編」「戦国英雄編」「人体医療編」など、
大人も好奇心をくすぐられるようなものばかり。
クイズやゲームを取り入れた授業は、
子どもの歓声が絶えないと言います。

もう一つ、学習塾というと、
教え方、つまり「講師」に名前か
教えるシステムが注目されがちです。
しかし、「探求学舎」の代表
宝槻 泰伸 氏が注力しているのは、
「コンテンツの魅力を磨くこと」

コンテンツ開発において、
ポイントは2つだそうで、
1つは、一流の芸に学ぶこと。
ジブリやディズニーといった一流のコンテンツに触れ、
そこから何を盗めるかを分析していると言います。
盗むのは“見せ方”だそうです。

もう1つのポイントは、
驚きと感動を呼ぶ物語性の演出。

「ドラマツルギー」という構成法を
授業のシナリオ作りに取り入れているそうです。

「子どものビジネス経験支援までも行なう“塾“とはいったい…」

もう1つ、「子どものビジネス経験の支援」にも
力を入れているそうです。

例えば、探究学舎の授業を通じて、
「元素」に興味を持った
当時小学4年生の生徒さんが考案した
「元素カルタ」を商品化。
この商品化を講師陣がサポート。
商品化の費用をクラウドファンディングで公募し、
目標金額を大幅に上回る383万円が集めたと言います。
制作過程でのアドバイスも、
子ども扱いせずビジネス視点で改善点を指摘。

好きで得意なことがもう見つかったなら
大人になるのを待たずにビジネスとして挑戦してしまう。
失敗したとしても大きな学びになるはずです。

今後の教育業界が大きく変わる予感があります。
ビジネスに関することも、
社会人になってからでは遅い気がします。
まさに教育業界は、小さなブルーオーシャンと
相性がいい業界と言えそうです。

 

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佐藤 洋介(さとう ようすけ)
株式会社グロウスブレイン 代表取締役

大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。

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