第90回「病人が食事を楽しむための小さなブルーオーシャン」

このコラムについて

小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?

と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。

「病人が食事を楽しむための小さなブルーオーシャン」


「目指したのは食事のバリアフリー」

病気になって辛いことってなんでしょう?
身体的な痛みや苦しみ
感情的な辛さや精神的ストレス
などなど…。

短期間で回復に向かうのであれば、
少し我慢することもできます。

幸いにも私は大病を患ったことがないので、
これまで気にしてこなかったのですが、
もし自分が、長期に渡る病気になったら、
一番のストレス、苦痛は食事だと思います。

ai subarasikiによるPixabayからの画像

つい先日も、歯の治療で、麻酔をしたために、
麻酔が切れるまで、食事が出来ずにいました。
また、検診の前日や当日の朝、
食事をしてはいけないと言われます。

私はこうした時、ストレスを感じています。

これは、私は食いしん坊で、
食事を楽しみにしているからに他ならないのですが、
これが長期になったらどうなるのでしょう。

さて、今回ご紹介する小さなブルーオーシャンは、
この「病気を患った人」の「食事」に焦点を
当てているビジネスです。

大阪にある「株式会社猫舌堂」という会社です。

ホームページを確認すると
食べることへの悩み(咀嚼障害・摂食嚥下障害・味覚障害など)を
抱える方が食べる喜びを取り戻すきっかけを作るサービスの提供
とあります。

具体的には、
スプーンやフォークといったカトラリー、
特に、摂食嚥下障害用のカトラリーを
提供しているようです。
その名も「iisazy(イイサジ) series」。

小さく、薄く、平たく、口当たりがなめらか、
というのが特徴らしいです。

代表である柴田氏は、24年間看護師として勤務。
ご自身もガンを経験し、
「生きることは食べること、食べることは生きること」
を支えるため、起業を決意したと言います。

摂食嚥下障害用のカトラリーとだけ聞くと、
市場としてはとても小さいでしょう。
これで起業しても、売上は上がりづらい。
一般的に考えれば、起業は反対されそうです。

しかし、だからこそ、根強い支持者が、
現れることも事実です。
特に、病気を経験して、辛さを知っている人、
あるいはその家族。

市場を大きくしなくても、
大きな売上を上げなくても、
小さい市場で、大きな支持を得ていく、
ビジネスをやる上で必要なことだと思います。
まさに小さなブルーオーシャンです。

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企業名:株式会社猫舌堂
URL:https://nekojitadou.jp/
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佐藤 洋介(さとう ようすけ)
株式会社グロウスブレイン 代表取締役

大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。

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