「日本最古のハンバーガーチェーンが、従来の枠組みにとらわれないというコンセプトで蘇った小さなブルーオーシャン」

「常連客を守るために新しいチャレンジを避けてきた結果が…」

ドムドムバーガーって
ご存知ですか？

マクドナルドが
日本に進出する1年前、
ダイエー創業者の中内功氏によって
設立されたのが、
日本初のハンバーガーチェーンである
ドムドムハンバーガーです。

最盛期は全国400店舗以上にまで拡大。
しかし、現在27店舗にまで
減ってしまいました。

マクドナルドが2951店舗。
モスバーガーが1253店舗。
店舗数が少ないとは言え、
バーガーキングも123店舗。

ところがこのドムドムハンバーガー、
「一番おいしいと思うハンバーガーチェーン店」
のアンケートでは3位。
「あなたの好きなハンバーガーチェーン店はどれ？」
でも5位に入っている。

一体なぜなんでしょう？

Jens Mahnkeによる写真

そこにはこれまで前例にはない
取り組みをしている背景があります。

「丸ごと!!カニバーガー」
「丸ごと!!カレイバーガー」
「ジーパイバーガー」
「ゴーヤーチャンプルバーガー」
などなど…。

丸ごと!!カニバーガーは
ソフトシェルクラブを一匹まるまる挟んであるし、
丸ごと!!カレイバーガーは巨大なカレイフライ。
ジーパイバーガーは、台湾屋台で人気の
「ジーパイ」という巨大な鶏の唐揚げで、
それが挟んである。

独特も独特！
しかしこれが、
若者を中心に大流行。

これまでのドムドムバーガーは
「過去」への執着がやめられない、
典型的な「老舗企業」で「大企業病」。

常連の限られたお客さんに
守っていただいていながら、
保守的な経営が続いていました。

黒字化に成功したのは、
2018年に社長となった
藤崎忍氏によるところが
多いと言います。

この藤崎社長の経歴も異色。
21歳で結婚してから専業主婦一筋。
キャリアをスタートさせたのは39歳。
渋谷・109のアパレルショップの店長、
小料理店でのアルバイトを経て、
2011年には居酒屋を開業します。
料理の腕を見込まれ、
2017年にドムドムハンバーガーの
メニュー開発顧問に就任。
その後、正式にドムドムフードサービスへ
入社すると、わずか9カ月後に
代表取締役社長就任というから驚きです。

そして、前述したような、
新商品を世に送り出して
いくのですが…。

当時の取締役会では反対意見が
多かったそうで。
それを押し切ったのが藤崎社長。

人気声優イベントに参加させることを
検討したときも役員会では反対意見ばかり。
アパレルとのコラボの際には、
ただロゴを貸すだけで
リスクはないのに、反対意見。

「なんでバーガー屋が洋服をやるのか」
「ロゴの管理が難しい」
「ロゴの形や色は順守しなければならない」と。

慎重な意見が悪いと言うわけではありません。
と、いうのも、藤崎社長は、
何も奇をてらって、こうした取り組みを
しているわけではない、ということが
わかるからです。

藤崎社長は、

あえて前例からはみ出し、
これまでは出会えなかった
お客さまの心も
つかんでいかなければならない。

という、コンセプトのもとで
挑戦を続けているのです。

それはこんなところにも。

コロナ禍において
ファストフード各社は
デリバリーを強化しました。
しかし、ドムドムハンバーガーは
デリバリーに対応する機材も
ノウハウも持ち合わせていない。
無理にデリバリーへ対応したら、
ドムドムハンバーガーが食べたいと思って
わざわざ来店してくれたお客さまへの
商品提供が滞るかもしれない。
だからデリバリーをやらないと決めた。

その代わりに、
セット商品の開発にいち早く取り組んだり、
秘蔵レシピをYouTubeで伝えたり、
あるいは、ドムドムグッズを
ECサイトで販売したり、
違う挑戦をしてきたと言います。

コンセプトが基盤に
あると言うことは、
何かをやる、あるいはやらない、
という意思決定にもつながると
いう事例の、小さなブルーオーシャンでは
ないでしょうか。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━
株式会社ドムドムフードサービス
神奈川県厚木市
URL https://domdomhamburger.com/
━━━━━━━━━━━━━━━━━━

著者の他の記事を読む