第159回「ゴミを売るわけではない!ホコリが大ヒットしている秘訣という小さなブルーオーシャン」

このコラムについて

小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?

と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。

「ゴミを売るわけではない!ホコリが大ヒットしている秘訣という小さなブルーオーシャン」


「猛反対の中、ホコリを着火剤として売り出す。」

キャンプをする人間にとって、
特に一人でキャンプをする、
ソロキャンパーにとって、
焚き火、火は重要です。
ガスで火が点く、バーナーも
あるにはありますが、
寒い時の暖や明かりという点では、
やはりバーナーよりも
焚き火の方が優れています。

焚き火やBBQで
火起こしの経験がある方は
おわかりだと思いますが、
実はこの火起こし、
なかなか大変な作業で…。
火が点かないんです!

マッチであっても、
ライターであっても、
直接、木を炙ってみても、
一瞬火が点いても、
煙ばかり出て、
結局、消える…。
もちろん、
しっかりと手順を踏み、
コツさえ掴めれば、
火は点くのですが、
昔から使われて来たのが、
「着火剤」。
麻ひもをほぐしたものが
有名ですが、
ホコリを使った着火剤が
売れているというのです。


著者による撮影画像

愛媛県今治市の
繊維製品メーカーである西染工。

同社が「今治のホコリ」という
着火剤を販売し、
売上を伸ばしているといいます。

これは、染色したタオルを
乾燥させたときに発生するホコリ。
わかりやすくいうと、
家庭の洗濯機の乾燥機のフィルターに
たまるホコリと一緒。

実はこれらのホコリは
1日に240リットルほど発生し、
全て廃棄されていた代物。
さらには、非常に火が点きやすく、
機械の電気ショートによる火花で
火災につながる危険性があるという
「厄介者」。

廃棄物で厄介者。
もはや良いところなんてない。
というところに目をつけたのが、
「今治のホコリ」

火が点きやすいということは
逆を言えば、容易に火花で火がつけられる。
石油系ではないため
嫌な臭いがしない点も特徴。

そして染色したタオルを
乾燥させたときに発生するもので、
カラフルな見た目も特徴。

これらの特徴を活かし、
色分けしたホコリを
数色組み合わせて
ケースに詰め
新たに着火剤にした、
というわけです。

製造は全て手詰めで行われ、
20代の女性社員が
担当しているそうで
色の組み合わせなどを工夫し、
ピンクや黄色といった
鮮やかな色を使うことで、
若い女性を中心に支持を
集めているといいます。

開発を担当した福岡友也氏によると、
「ごみを売るのか」という
反対も合ったそうですが、
販売開始から数ヶ月で
20倍以上の売り上げを誇っており、
現在は乾燥機のホコリの廃棄を
約70%削減していると言います。

以前、産業廃棄物処理をされている
企業の担当をしていましたが、
その会社の社長に言われたことは、
今でも覚えています。

世の中にゴミなどなく、
人間の使い方次第

まさに、
使い方を工夫し、
売り方を工夫した
小さなブルーオーシャンだと思います。

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西染工株式会社
愛媛県今治市
URL https://nishisenkoh.com
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佐藤 洋介(さとう ようすけ)
株式会社グロウスブレイン 代表取締役

大学(日本史専攻)を卒業後、人材コンサルティング会社に16年間勤務。ソフトウェア開発会社、採用業務アウトソーシング会社、フリーランスを経て、起業。中小企業の人材採用、研修に携わる一方で、大学での講義、求職者向けイベント等での講演実績も多数。人間の本質、行動動機に興味関心が強い。
国家資格キャリアコンサルタント、エニアグラムファシリテーター、日本酒ナビゲーター。

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