このコラムについて
小さなブルーオーシャン?
何だかよく分からないよ。ホントにそんなので商売が成り立つの?
と思っている方は多いのではないでしょうか。何を隠そう私もそのひとりでした。私は人一倍疑り深い人間なのです。そこで・・・私は徹底的に調べてみることにしました。小さなブルーオーシャンなんて本当にあるのか。どこに行けば見られるのか。どんな業種なら可能なのか。本当に儲かっているのか。小さなブルーオーシャン探求の中で私が見つけた答えらしきもの。それはきっとみなさんにとっても「何かのヒント」になるはずです。
「明確なルールを設定することで業績を上げたという小さなブルーオーシャン」
世の中には「自由な社風」「ルールは最低限」と謳う中小企業がたくさんあります。企業側の考えとすれば、社員に対して自立を促しかつ風通しの良い社風を訴求して採用手法に組み入れているのではないかと思います。
しかし、これが業績アップの弊害になると聞いたらどう思うでしょうか?今回はこの弊害を取り除き、業績をあげている企業の小さなブルーオーシャンです。
その会社は大阪府摂津市に本社を構える株式会社テックビルケア。
本記事では、同社の代表である茶橋昭夫氏が10年で経常利益を10倍にまで業績を伸ばした方法について探求してみます。
暗黙のルールの罠と社員の窮屈感
多くの組織において、「我が社は自由で、ルールや規則は少ない」と謳う企業は少なくありません。これにより「我が社は風通しが良い、自由な社風です」とアピールしているのだと思います。文字通りに受け取れば、確かに社風は良さそうに思えます。しかし、この社風を作り上げるために、ルールを作り、そのルールを順守、徹底させたのが、前述した、株式会社テックビルケアの代表である茶橋昭夫氏です。中でも、3S(整理・整頓・清掃)活動から着手したそうです。
株式会社テックビルケアは、もともとビル清掃がメイン事業で、長時間労働で休みが少なく、給料も安い、労働環境は最悪だったそうです。いまで言えば、ブラック企業ですね。福利厚生もできていなかったとか…。さらには雰囲気が閉鎖的だったそうで…。そこで、茶橋氏はまず「社風」を変えようと考えたそうです。そこで前述したルールづくりなのですが、なぜ「社風を変える=ルールづくり」だったのでしょうか?
茶橋氏は、ご自身の経験から、組織には「暗黙のルールが存在する」ということを知っていたそうです。組織には「見えないルール」が存在します。建前上は 「自由、ルールはない」と言いながら、「決して自由ではない」。その暗黙のルールによって、社長や上司による「不透明な意思決定」がなされてしまいます。
これが社員の行動を拘束し、組織全体を窮屈にさせる要因となります。これらの暗黙のルールが社員の不満やストレスの原因となり、組織文化を侵食していくというわけです。
「迷ったら捨てる!」までルール化したら、とんでもない量のゴミが出た!
このことを知っていた茶橋氏は、しっかりとルールを明示することをしたというわけです。社員は行動指針を理解しやすくなり、納得感を得られ、組織の透明性が高まり、信頼構築につながる。どこまでルール化したのかというと、書類や文房具の配置・使い方まですべてルールとして明示。「いらないものは全部捨てよう!」「迷ったら捨てる!」までルール化したら、とんでもない量のゴミが出たそうです。
ここまで明確なルールを作ると、このルールに基づく効率的な業務遂行が可能となり、生産性が向上します。ルールに従った業務はミスが少なくなり、効率的にタスクをこなすことができます。結果として、組織全体の業績が向上する土台が形成されるというわけですね。
社員が安心して働くためには、組織内のルールが明確であり、公平であることが不可欠です。同社が成功してきた要因は、ルールの明確化。ルールを作って、社員に実践させることは、社員が窮屈になるのではないか?と思いがちです。また、ルールや規則は社員の自立性を奪うこと、あるいは受け身的な人材になってしまうのではないか?とも思えます。しかし、いまの世の中は混沌とした時代であり、以前の常識ややり方がダメだと言われる時代でもあります。だからこそその企業独自のルールや規則が必要なのかもしれません。今回はルールによって業績アップにつながる小さなブルーオーシャンでした。
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株式会社テックビルケア
大阪府摂津市
URL https://www.techbuilcare.com/
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