ブラックハット

SEOにはふたつの種類があることをご存知だろうか。ホワイトハットSEOとブラックハットSEO。前者は関連性の高いコンテンツを提供することで、エンゲージメントを獲得する行為。後者は検索エンジンのアルゴリズムを欺くことで、クリック数を稼ごうとする行為。

Googleはホワイトハットの表示を上げ、ブラックハットの表示を下げていく。検索エンジンを売りにする会社としては当然の判断だろう。ユーザーが欲しい情報ではなく、ユーザーに何かを売るために検索エンジンを欺く情報。それが上位表示されるエンジンをユーザーが使いたがるはずがない。

Googleで検索してもページが表示されない。これは事業者にとって致命的である。オンライン上に存在しないのと同じことになってしまう。事業者はGoogleの価値基準に従う他ないのである。

そもそもGoogleはユーザーが欲する情報、ユーザーの役に立つ情報を提供する検索エンジンだ。ブラックハットSEOはそのアルゴリズムの弱点を狙った戦略である。有益なコンテンツを作るよりも効率が良く費用対効果も高い。しかしGoogleがこのような弱点を放置し続けるはずがない。

Googleのアルゴリズムはすぐに変わってしまうと不満を漏らす人もいるが、そもそもアプローチの仕方が間違っているのである。欺こうとするから排除される。ユーザーにとって有益なコンテンツを提供し続ければ、Googleアルゴリズムは自ずと味方になってくれる。

もちろんその時々のGoogleアルゴリズムを無視することは出来ない。どんなに良いコンテンツでも見つけにくければ拾ってもらえない。考えてみればこれは商売と同じ原理である。良さげに見えるものを売って欺くのではなく、本当に良い商品をつくる。そして商品の良さがユーザーに伝わるように、丁寧に分かりやすく説明する。

この先テクノロジーが進化すればするほど、本物は売りやすくなり、偽物は売りにくくなる。素晴らしいことではないか。今こそ商売の基本に立ち返る時なのである。どんな商売が儲かるか、どうやったら売りやすいか、ではなく、どんな商売が必要とされているか、どうやったらその良さがユーザーに伝わるか。ここに本気で取り組む。

本当に自分が売りたい商品、心の底から提供したい価値、それを商売の軸に据える。利益から考える経営はテクノロジーによって駆逐されていくのである。

 

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