日本人は自己否定が強すぎる
心理的安全性って、どうやったらつくれるんでしょうか?
いちばんのストレスって、自己否定をしていることなんですよ。
自己否定ですか。
気がついてない人が多いですけど、人間って自己否定をしながら生きてるんです。
自己否定をバネにいろいろ頑張ったり。
それはいいんですよ。ただ日本人は自己否定が強すぎる。
仕事で活躍できないと自己否定しそう。
いえ、仕事ができる人ほど、日本人は自己否定が強いと思います。
え!仕事ができる人?
自己肯定感というのは「できている」という根拠があって、「そこにOKを出せる」「頑張っている自分だ」というのが大前提なんです。
「できている」なら否定する必要ないじゃないですか。
その前提が少しでも揺らいだら一気に自己否定になるわけです。
なるほど。できる人が突然うつになったりするわけですね。
世の中で活躍しているように見える人って、すごく自己否定が強くて。それをバネに結果を出している人が多いんです。特にビジネスパーソンは。
「こんなことじゃダメだ!」みたいな。
「もっと頑張らなきゃ」の連続ですね。もちろん、そうじゃない人もいます。「本当にただ単に楽しくて」という人。でも基本的に日本人は自己否定とか劣等感がバネになってます。
劣等感や自己否定って、人と比べることで起こる気がします。たとえば無人島に流れ着いたら、劣等感も自己否定もあまりないような。
アドラーが「人の悩みはすべて対人関係の悩み」って言うのは、そこなんですよ。
人の悩みはすべて対人関係?
たとえば容姿の悩みとか、稼ぎの悩みとか、「生きがいがあるか、ないか」みたいなのも。みんなが同じだったら悩まないわけで。
確かに。みんな同じなら悩みようがないです。
自分は生きがいが見つからないのに、生きがいをもって「生き生きやっている」ように見える人がいるから、そこに悩みが生まれるわけじゃないですか。
自分より上の人と比べて、プレッシャーやストレスを感じる人が多いです。
だから足を引っ張ったりするんだと思う。
足を引っ張るのは、心理学的には健全な行動ですか?
足を引っ張るのは不健全ですよ(笑)
ですよね(笑)
そもそも自己否定というのは、「自分が感じていること」を否定するのが自己否定なんです。
自分の感情を否定する?
飛躍して聞こえるかもしれませんけど。「自信」って「自分を信じる」じゃないですか。
そうですね。
なにを信じるかって言うと、自分の感じていること、自分の感覚なんですよ。それが自信だと私は定義していて。
なるほど。深いですね。
でも子どもの頃から「そんなふうに感じたらおかしいよ」とか、「悲しくても泣くんじゃない」とか、「怒るなんて感情的でだめだ」とか、言われますよね。
言われますね。
感じていることを否定されていくと、どんどん自己否定になっていくんです。
つまり「ありのままの自分」「感じるままの自分」を受け入れることが、自己肯定につながると。
私はそれを「自己受容」と呼んでます。
おお!いいですね、自己受容。
私は「自己受容」と「自己肯定」を分けて使ってます。
自己肯定はどういう状態なんですか。
どっちかっていうと正当化に近いですね。
「私は正しい」という思い込みとか。
「がんばっているから正しいでしょ」っていう感じ。
> 第6回「 休めない動物は人間だけ 」へ続く