地元国立大学を卒業後、父から引き継いだのは演歌が流れ日本人形が飾られたケーキ屋。そんなお店をいったいどのようにしてメディア取材の殺到する人気店へと変貌させたのかーー。株式会社モンテドールの代表取締役兼オーナーパティシエ・スギタマサユキさんの半生とお菓子作りにかける情熱を、安田佳生が深掘りします。
第30回 「売れない経験」もさせるのが、商品開発の醍醐味?

前回の対談でもお話しましたが、社員さんたちとなるべくフラットな関係性を築いて、意見を出しやすい雰囲気を作るようにはしてます。そのためには「忍耐力」もかなり大事なんですけど(笑)。

仕方がないことではあるんですが、「それは売れないよ…」という案もいっぱい出てきますのでね(笑)。でもそれを僕の経験値でジャッジしてしまわないようにしています。「もう次から自分のアイディアを言うのは嫌だな」って思われたら悲しいので。

全然ありますよ。やっぱり実践が一番の勉強なので、味やクオリティに問題がなければどんどんショーケースに並べます。仮に売れなかったとしても、自分が発案した商品だと「何がダメだったんだろう」って本人が真剣に考えるんですよ。

仰るとおりです。そうやってマーケットイン的な発想を学んでいってもらえればと思っています。あともう1つ、商品開発をする時に取り組んでいることがありまして…。

基本的にはそういう感じなんですが、ただ割と皆が似たようなものを作ってくるんですよね。というのも前提として、僕らの業界って「季節」という大きな縛りがあるんです。季節によって使える素材が限られてくるわけですよ。
対談している二人
スギタ マサユキ
株式会社モンテドール 代表取締役
1979年生まれ、広島県広島市出身。幼少期より「家業である洋菓子店を継ぐ!」と豪語していたが、一転して大学に進学することを決意。その後再び継ぐことを決め修行から戻って来るも、先代のケーキ屋を壊して新しくケーキ屋をつくってしまう。株式会社モンテドール代表取締役。現在は広島県広島市にて、洋菓子店「Harvest time 」、パン屋「sugita bakery」の二店舗を展開。オーナーパティシエとして、日々の製造や商品開発に奮闘中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。