以前のお話では、一番人気はダントツでショートケーキだけど、お店の売上を左右するのはホールケーキということでしたよね。私自身、家族の誕生日やクリスマスなど、年に数回ホールケーキを買って食べるんですが、実を言うとうまくカットできたためしがなくて（笑）。

そうなんですよ。買ってきたときはすごく美しいのに、人数分に切り分けようとすると、どうしても崩れてしまう。ケーキ専用の包丁を使っているのにも関わらずですよ。

ええ、何度やっても失敗してしまうんです。でもお店で売っているショートケーキとかって、すごくきれいに切れているじゃないですか。上に乗っているイチゴもスパッと切れていて、見事だなぁと。あれ、どうやってやってるんですか？

そうなんですか！　飾り付ける前に一旦凍らせるんですね。

なるほど。でも私も包丁を温めて切ったことはありますよ。確かに普通よりはキレイに切れるんですけど、フルーツの部分がどうしても難しくて。スポンジにめり込んじゃうんですよ。

プロがやってもそうなんですか。ちなみに家でも一旦凍らせたりするんですか？

ああ、やっぱりそうですよね。でも一度フルーツを動かしちゃうと、元のようにはならないんですよ。だったら最初から、「ホールケーキなんだけど人数分に分かれているようなケーキ」があればいいのに、とも思うんです。

あ、やっぱり。ちなみにそういう場合はやってもらえるんですか？

へぇ〜、そうなんですね。見た目はホールケーキだけど、分けても崩れない。素晴らしいじゃないですか。

ああ、そういう視点もあるわけですね。うーん、見た目の華やかさと分けやすさの両方を兼ね備えたホールケーキって作れないものなんですかね。杉田さんのところで全く新しい概念のホールケーキとして開発してほしいくらいです。

そうそう。「パルティータ」的な進化系ホールケーキができたら、喜ぶ人がたくさんいると思いますよ。

ホールケーキを買ったときのワクワク感が、切り分けて食べる時まで続くといいなと思うんです。一番きれいに切れたのを子どもにあげて、親は残念な見た目のケーキを食べる、なんてことはもう卒業したいなと（笑）。

まさに仰るとおりで。ケーキってフォークを入れる時の美しさも絶対必要ですからね。たまにものすごい高さのハンバーガーとかありますけど、食べる時に崩れてしまうようでは食べ物としては成立してない気がするんです。

そうそう。「何人でどういうシーンで取り分けるか」「誕生日のような主役がいるのか、それともクリスマスで人数分に分けるのか」というヒアリングのもと、飾り付けも変えていったらさらに楽しいですよね。