終身雇用は既に崩壊している。これには多くの人が賛同するだろう。その割に現場での対応は何も変わっていない。この現実を経営者は直視する必要がある。なぜ終身雇用が終わっているのに「辞めないこと」を前提に組織を作っているのか。管理職にすれば喜ぶと思っているのか。私には理解できない。
大企業ですら20代30代は昇進など考えていない。同じ会社に10年以上勤めることはリスクでしかないと思っているし、管理職になるキャリアプランなど眼中にすらない。社外でも通用するスキルを一刻も早く身に付ける。本当の意味でのキャリアアップ(転職)を実現する。それが彼らの未来設計図だ。
では中小企業はどうだろう。ここで生涯勤めたいと20〜30代の若者は考えるだろうか。微々たる手当のために喜んで管理職になるだろうか。考えるまでもなく答えは見えている。見えているにも関わらず現場は何も変わっていない。定着率が下がることも、若者が採用できないことも、当然の結果なのである。
経営者はダーウィンが大好きだ。生き残るのは強い種ではなく、賢い種でもなく、変化し続けた種であると、頭では分かっている。だが現場は何も変わっていない。これで生き残ろうとするほうが無理である。これから世の中が変わっていくという話ではない。もう既に世の中の常識は変化しているのだ。
20代30代の若者を採用したい。やる気のある優秀な人だけを採りたい。ここまでは間違っていない。問題はその手法である。20代30代のやる気ある優秀な若者が何を考えているかはもうお分かりだろう。彼らを本気で採りにいきたいならこちらが変化するしかない。辞めないという発想を捨てるのだ。
自社に入った人材は5年間で明確なスキルを獲得し、次なるキャリアステップとして転職していく。自社に入った時よりも高い報酬で、自社よりも大きな会社に引き抜かれていく。ここをゴールとし、ここから逆算した組織を作り上げる。20〜30代の人材がどんどんローテーションしていく組織。これが理想。
そんなことで組織が成り立つのか?現にリクルート社は成り立ってきたし、多くの大企業もこの形態に変化していくだろう。若い時に思い切り活躍してもらいスキルアップ転職をどんどん後押しする。残った1割に満たない人材が組織の核として経営を担っていく。これこそが目指すべき理想の姿なのである。
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