この対談について
株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。
第48回 ストーリーのある空き家販売
第48回 ストーリーのある空き家販売

鈴木さんとはこれまで何度も「空き家問題」についてお話をしてきましたが、実は私の実家もまだ空き家状態のままで残っているんです。

ええ、本当に。さらに、母が小さい飾り物が好きだったから、家のあらゆるところに細々したものも飾られているんです。掃除好きな母にとってはなんてことなかったみたいですが、遺された者にはかなり重労働で(笑)。

そうなんです。建ててから10年以上経ちますけど全然傷んでないです。それに植木も大切に育てていたので、たぶん樹木好きな人から見れば魅力的な状態の木もたくさんある。でも兄は木が好きなわけではないし、私は離れた場所に住んでいるので、枯れてしまうんですよ。

前回、安田さんがお話されていた「ストーリーが大事だ」ということですね。

そうです。何度も例に挙げていますが、200万で売れた230坪の田舎の物件。あれなんて、都会に住んでいる私からすれば夢のようなお家なんですよ!

ええ。そういう人って値段を不必要に高く設定したりもしそうですが、でも「この人ならぜひ譲りたい」という相手が見つかれば、多少安くても売ると思うんです。そうすると、売り手も買い手もwin-winですよね。

そうですそうです。例えば前回のお話に出た「細い坂道を上ったところにある眺めのいい家」というフレーズも十分魅力的ですが、そこからさらにもう一歩踏み込んで、「冬の夕方4時頃、この部屋のこの窓から見える夕日が美しすぎる」とか、前の住人が楽しんでいたことを書くんです。

そう言えば最近、ここよりもっと山奥のほうにカフェができたんですけど、すごく繁盛してるんですって。僕らからしたら「山しかないようなところでコーヒー飲んでどうすんの?」って思っちゃうんですけどねぇ(笑)。

ああ、いいですね。『相続不動産テラス』のサイトに「思い出がある家は、私たちにお任せください」っていうようなメッセージ、載せてみませんか?
対談している二人
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。