この対談について
株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。
第70回 外国人移住者を受け入れるために必要なマインドとは?
第70回 外国人移住者を受け入れるために必要なマインドとは?
この対談でも幾度となくお話ししてきましたが、これからの日本はどんどん人口が減り続けていきますよね。
そうですね。今後、出生率が上がっていく見込みもなさそうだし、と話しました。
都心はまだしも、地方はますます人口が減っていき、インフラを維持することすら難しくなっていく。ところで「地価」って人通りの数によって決まるってご存知でした?
え、そうなんですか。じゃあ人口が減っている地域は、地価もどんどん下がる一方というわけですね。
まさにそうなんです。今までの日本って、ある意味「土地神話」があった。つまり土地は絶対に値上がりすると考えられてきたわけです。でもこれからはそうじゃない。投資目的で地方の土地を購入することが、非現実的になっていくんですよ。
確かに、人っ子一人いないような土地を買っても、活用しようがないですもんね。ましてや、次に売る先なんてないし(笑)。
そうそう(笑)。じゃあ地方の人口を増やすためにはどうするかと考えると、私はやはり、外国からの移住を受け入れていかざるを得ないのかなと思うんですけど、鈴木さんはどうお感じですか?
僕も同感です。だからこそ、移住してきた外国人の方に積極的に空き家販売をしていこうと動いているわけで。
そうですよね。ちなみにご近所からネガティブな反応はなかったんですか? まだ外国人を受け入れることに難色を示す方も少なくないと思うんですけど…。
現時点で近隣トラブルは何もないですね。美濃加茂市はもともと外国人の方が多く住んでいる土地ではあるので、近所の方もそれなりに慣れてらっしゃいますし。
そうかそうか。近所に外国の方が住んでいるのが当たり前の地域なんですね。
そうそう。美濃加茂市に限って言えば、20年くらい前から外国人は増えてますし、2世も多い。今は学校でも1クラスに1人以上は「両親が外国人」の生徒さんが通っているそうですよ。
へぇ〜。そういう子どもたちって、日本で生まれ育っているから、日本語でのコミュニケーションも問題ないし、日本の価値観もしっかり身についているんでしょうね。
そうなんですよ。見た目が外国人っていうだけで、中身は日本人。だから日本での生活にも全く不自由はないみたいです。
なるほどなぁ。じゃあ鈴木さんがお家を販売した方も、近所の方とうまくやっていけそうですか。
だと思います。ただ最初の3年間はウチが「家の管理者」なので、むしろ我々が頑張らないといけなくて。今後のトラブルを避けるためにも、ゴミ出しとか挨拶とか騒音とか、そういったマナーやルールのようなものはしっかりと伝えていく責任があると思っていますね。
なるほどなぁ。ちなみに鈴木さんは、日本全体で外国人の移住者が増えることや、外国人が日本の家や土地を買うことについてどう思われているんですか?
コミュニケーションが取れれば、別に誰が来ても全く問題ないと思っています。逆に日本人の中にもマナーが悪くて近隣トラブル起こす人がいっぱいいるじゃないですか(笑)。
ですよね(笑)。同感です。よく言われがちな「外国人が増える=治安が悪くなる」なんていうのも、別に国籍は関係ないだろうと。ただ、多くの日本人が戸惑う理由の1つに、各国の「常識」が違うことが言えるかなとも思うんです。
常識か。確かに生活習慣の違いはありますよね。会話する時の声の大きさとか(笑)。「日本人だったらこんなことせえへんやろ」ということを目の前でされてしまうと、まぁ困惑しますよね。
そうなんですよ。実は私のマンションにも外国の方がいるんですけど。共用の通り道にドーンと車を停めて、その横で大きな声でお喋りしていて、全然どいてくれない(笑)。日本人だったら「気を利かせる」と思うんですけど、彼らには「どいてください」「もう少し静かにしてください」とハッキリ言わない限り、伝わらないんですよね。
わかります(笑)。でも彼らも別に悪気があってそうしているわけじゃない。ただ、お国の文化が違うだけで。
仰るとおりです。だから私は、日本が今後外国人を受け入れていく際は、そういった「日本独特の文化」みたいなものもちゃんと伝えていく必要があると思いますね。
確かにそうですね。お互いの文化を尊重しつつ、日本の常識・マナーもしっかり学んでもらう。それがうまく共生する秘訣なのかもしれません。
対談している二人
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。