この対談について
株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。
第93回 人不足を乗り切るには「60歳以上限定」の求人がカギ
第93回 人不足を乗り切るには「60歳以上限定」の求人がカギ

今の日本の労働人口は7000万人と言われていますけど、これが確実に3000万人まで減るらしいですね。こうなると特に中小企業は人不足がますます深刻化する。でもその一方で、最近は60歳を過ぎても働き続けている人が増えているじゃないですか。

えっ、どういうことです? ウチは自然とこうなった…っていうだけなんですけど(笑)。

順を追って説明しましょう。まず労働人口を世代別に見ていくと、20代はキャリアアップ世代ですよね。そして最近では、1つの会社でスキルアップして、また次の会社に移ってさらにスキルを磨いて…と、転職が当たり前になってきている。

ええ。そしてそういう人たちが30代・40代になると、それまでに培ったスキルで一番稼げる会社に入るんですね。自分のキャリアのゴールになる会社です。そうなると会社側も年収1000万円くらいを払う必要がある。

そうなんですよ。でもね、ここからがポイントなんですが、そういう人たちも、50代・60代となってくるとさすがに市場価値が下がる。つまりそこまで高い年収を払わなくても働いてくれるようになるわけです。

もちろんそうです。若手の採用も引き続きやっていく。でもさっき言ったように、彼らはもう一つの会社にいつかないんです。どう頑張っても3〜5年で転職してくわけで、だったら最初から「退職ありき」で採用するんです。

ええ。だから30代・40代のスペシャリストを数名だけ入れる。さっき言っていた「自分のキャリアのゴールになる会社」を探している層ですね。彼らに年収1200〜1300万円くらいの高給を支払うことで、会社のコア人材になってもらうわけです。
対談している二人
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。