この対談について
株式会社ワイキューブの創業・倒産・自己破産を経て「私、社長ではなくなりました」を著した安田佳生と、岐阜県美濃加茂エリアで老舗の葬祭会社を経営し、60歳で経営から退くことを決めている鈴木哲馬。「イケイケどんどん」から卒業した二人が語る、これからの心地よい生き方。
第99回 新卒採用は「趣味」になる?
第99回 新卒採用は「趣味」になる?

鈴木さんは『のうひ葬祭』の経営者として社員を雇用されていますが、ココだけの話、やっぱり「人を雇うストレス」も感じるでしょう?

ん〜、まぁ、もちろん全くないとは言えませんね。そういう意味では、従業員がいなくてもできる仕事は羨ましいなと(笑)。ただね、昔は逆だったんですよ。社員100人も抱えている社長さんを見て「羨ましいな〜」なんて思っていたわけで。

ああ、確かにそうですね。社員が多いほどカッコよく見えたというか。でもあれは時代性もあったと思いますよ。昔って実際、社員がたくさんいればそれだけ大きな商売ができた。結果、社長もたくさん儲かっていた。

そうそう。でも今の時代、そうとも言えなくなってきたじゃないですか。むしろ社員が多いことがリスクになったり、マイナス要因になるケースも増えているわけです。かかる経費だって人数が多いほど高くなるし。

あぁ…社会保険料のことを仰りたいんですね?(笑)

笑。昔からそうだったから、そんなもんだと思ってしまっているんじゃないのかな。それに「雇用のストレス」があるとしたら、そういったお金の部分より、「人間関係」の方が大きい気がします。ほら、日本ってなぜか従業員より会社の方が立場が下じゃないですか。

ああ、確かに。ちなみに私の場合、「会社が潰れる不安=社員の給料を払えない不安」だったんです。その点いまは「1人ビジネス」をやっているので、仮に売上が落ちても自分の報酬がなくなるだけ。随分気が楽になりましたよ。

なるほどなぁ。そういえばウチは昔は完全な家族経営で、売上が悪かった月は母親から「今月の給料はちょっと待ってね」なんて言われてましたね。1人ほどではないけれど、家族経営だからある程度の融通はきいたわけです。

ああ、確かに他人を雇うのとは全然違いますよね。それで言うと昭和30年代頃までは、全国的にも家族経営の割合がすごく高かったみたいです。いわゆる「家業」ってやつ。

どうなんでしょうね…。いきなり社員ゼロにすることはないでしょうけど、今いる社員だけでやっていく方法を模索するようになるんじゃないかな。仮に人を雇うにしても、「なにがなんでも新卒」というような発想はなくなっていく気がします。

確かにね(笑)。僕も経験ありますが、新卒が入ることで何かが変わるような気がしてしまうんですよ。でもよくよく考えたら、ゼロから教えていくのって、子育てと同じでめちゃくちゃ大変で。そういう苦労をすることが好きな人はやればいいと思いますけどね。
対談している二人
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。