泉一也の『日本人の取扱説明書』第11回「キャラの国」
著者:泉一也
日本でビジネスを行う。それは「日本人相手に物やサービスを売る」という事。日本人を知らずして、この国でのビジネスは成功しません。知ってそうで、みんな知らない、日本人のこと。歴史を読み解き、科学を駆使し、日本人とは何か?を私、泉一也が解き明かします。
ゆるキャラの名付け親を知っているだろうか。イラストレーターのみうらじゅんさんである。マイブームという言葉をも流行らせた人物。仏像マニアとしても知られている。「みうらじゅん」という人間はキャラが立っている。つまり個性的、もっというと変態。その際立った変態性で社会に新しい職業を作り出してきた。
漫画にアニメにゲームにファンシーグッズに日本文化が世界経済に与えている影響は大である。ここに共通しているのは、ルフィにガンダムにマリオにキティーちゃんといった個性的なキャラである。ちなみにワンピースは世界で4億冊以上単行本が売れている。東京ではマリオに扮した外国人がカートで車道を走り回っている。
ではなぜこんなにも魅力的で個性的なキャラが日本で続々と生まれるのか。
それは、もともとこの国にキャラを生み出す土壌があるからだ。しかしキャラの国なはずなのに、今はおかしなことになっている。このような歌の詞がある。【大人はいう「今の若い人には個性がない」、でも個性があればあれで押さえつけるくせに】こうして大人社会での二枚舌は若者にバレバレなので、大人社会で個性を出すのはアホらしいと、リアルでは草食男子なのに、ネットゲームでは肉食の戦闘を繰り広げる。今まさにキャラの国はネットの世界に追いやられているのだ。
なぜか。それは大人社会がこのキャラを生み出す土壌を巧みに利用したからだ。標準化されたキャラを作って画一化したのだ。明治時代以降「標準化キャラ」を定着化させ、富国強兵を果たした。皆が同じ服を着て、同じ教科書で学び、同じタイミングで就職活動をする。レールがあって鉄道網が発展したように、標準化のレールが富国強兵の成功の方程式だった。
しかし、もう富国強兵の方程式は役割を果たし、ネットの世界に追いやられたキャラの国がリアルの世界に帰ってこようとしている。ハロウィンが流行っているのがそれであろう。キャラを表現したいというニーズがハロウィンを利用して表出している。