第104回 見積もりも現場管理も、AIがやる時代へ

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第104回 見積もりも現場管理も、AIがやる時代へ

安田

最近はAIの進化がさらに勢いを増してますけど、住宅業界でもAI活用は進んでますか?


渡邉

ここにきて一気に進みましたね。例えば見積もりなんかも、人がやったら1日かかる仕事を1時間くらいでやってくれますから。とんでもない時短ですよ。

安田

へぇ、むしろ1日がかりでやっていたことに驚きます。


渡邉

そもそも新築以外のリフォームとかリノベーションの領域って、見積もりを作るのがすごく難しくて。例えば「給湯器が壊れたから交換してください」っていう単純な依頼でも、この形の最新機種はどんな機能があって、ここのスペースに収まるか、ガスの接続にはどんなオプションが必要かなど、給湯器1個でも総合的な知識が必要なんです。

安田

ははぁ、それがキッチン全体のリフォームともなれば、さらに複雑になると。でも確かに、それこそAIの得意分野ですよね。


渡邉

まさにそうなんです。製品情報を一気に学習して、最適解を導き出してくれる。そのスピードと精度は人間ではなかなか真似できませんよ。

安田

そうですよね。人間なら調べるのに何日もかかる内容を、AIなら一瞬で完了できる。リリースされたばかりの商品情報も、ほんの数秒でリスト化してくれますし。


渡邉

そうそう。さらにその後の発注作業もAIが得意な分野で。この部品を買ったらこれとこれとこれが必要になる、といった関連情報を踏まえて、ミスなく発注してくれます。

安田

ふ〜む、逆に言えば今まではそういうことをアナログでやってたんですね。そりゃあミスも出ますよ。ちなみに見積もりや発注以外はどうなんです? 検品とかは?


渡邉

検品はまだ難しいかもしれませんが、現場管理、つまり工事の段取りやスケジューリングは早晩AIが担うようになるでしょうね。

安田

「工事の段取り」というと、職人さんの手配や資材の搬入タイミングを調整するようなことですか? それぞれの都合や天候など、複雑な要素が絡みあってそうですが。

渡邉

ええ。例えば屋根屋さんや大工さん、電気工事の人からサッシ屋さんまで、とにかくいろんな人が絡む上に、雨や雪で作業ができないとスケジュールが一気に崩れる。本当に骨の折れる作業なんですが、それをAIがサクサクっとやってくれるようになる。

安田

ははぁ、それはすごい革新ですね。でも、塗装みたいな作業はやっぱりまだ人間がやらないとダメですよね。それとも、そういった作業も機械化していくと思いますか。


渡邉

そうですね。職人さんが自ら塗るんじゃなくて、職人さんが塗装機械を操作するという未来もあり得なくはないと思います。

安田

へぇ〜。でもデザイン業界もそうなってますもんね。昔は画用紙に自分の手で絵を描いてましたけど、今はソフトを使ってデザインするのが当たり前になっている。「ソフトを使える人=クリエイター」という時代です。


渡邉

そう言われるとそうですね。たとえ絵が描けなくても、ツールを使って創作ができるならそれでいい。ある意味「設計士」的な立場ですね。

安田

そうそう。PCに指示を出し、出てきたものを調整するのがデザイナーの仕事になった。でも、そもそもの指示を出すのは今でも人間なわけで。


渡邉

確かに。ピカソのような、「意味がわからないけど価値があるもの」を創造するのは、機械には難しいのかもしれません。

安田

まぁ今なら生成AIに「ピカソ風に描いて」と指示すれば描けちゃうんですけどね(笑)。でもここで言っているのはそういうことじゃなく、そもそも「横顔と正面の顔と上から見た顔をすべて混ぜて一つの平面として表現してみよう」と発想することがAIにはできないということで。


渡邉

まさにまさに。逆に言えば今後は、人間が「何を大事にして、どんな価値を創り出すか」が問われる時代なわけですよね。「自分のやりたいことをAIを活用しつつ実現する時代」というか。

安田

そうですね。あるいは「やらなきゃいけないこと」はAIが代行するようになって、人間は「やらなくてもいいけどやりたいこと」に時間を使う時代とも言えるかもしれない。

渡邉

なるほど。リフォーム業界で考えると、プランの提案や見積もり、工事管理までは全部AIにまかせて、人間は「こんなリフォームをしたらどうだろう」と発想するところに注力する感じでしょうか。

安田

ええ、そうなりそうな気がします。そしてそうなれば、今の人員を10分の1にしても成り立つかもしれない。

渡邉

ははぁ、なるほど。100人の社員でやっていた仕事量を10人でできるようになると。

安田

もちろんそれを実現するには相応の投資が必要になると思いますけどね。でも、いま苦しんでいる中小企業は思い切ってそっちに舵を切るのもアリだと思います。

 


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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