第55回 家の付加価値としての「庭」

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第55回 家の付加価値としての「庭」

安田
最近、岐阜の庭師さんと対談しているんですけど、お話を聞いていて思うのは、日本のハウスメーカーさんって庭をあんまり重視していないんだなということで。建物にできる限りのお金をかけて、庭は余った予算で済ませるというか。

渡邉
うーん、まぁ、予算の配分として建物を優先する感覚はあるでしょうね。
安田

でもお庭って、けっこう大事だと思うんですよ。家の中で過ごすとしても、窓から見える景色次第で気分も変わりますし。


渡邉

それは確かにそうですね。

安田
ハウスメーカーから提案されたお庭がしっくりこなくて、それでその庭師さんに直接依頼する施主さんもいるらしいです。

渡邉
ハウスメーカーさんにとって、庭はどうしてもメインじゃないんですよね。相応の知識や設備も必要ですから、積極的にやりたがらないのかもしれません。
安田
うーん、そうは言っても、これからは住宅屋さんも多業種化していく時代なわけですよね。住まいの領域内での多角化を考えたら、庭って一番近い部分だと思うんですよ。庭師さんを探して依頼する人がいるほどニーズがあるわけですし。

渡邉
むしろ庭師さんレベルの提案ができないんだと思いますよ。庭ってね、けっこう特殊なんです。風景や周りの環境だけじゃなく、家の中からの動線とかいろんなことを複合的に考えなければいけない。
安田
ああ、なるほど。やれるけどやっていないわけじゃなく、そもそもやれないんだと。確かに家だけじゃなく庭もそこまで考えられるプランナーは貴重でしょうね。

渡邉
ええ、そういうことだと思います。
安田
とはいえ、最近は古民家のリノベーションとか田舎暮らしとかも流行っているし、「素敵な庭がある家に住みたい」という人も増えてくる気がするんですよ。大手ハウスメーカーさんはそっちの方向には行かないんですかね?

渡邉
各都道府県の3番手以内に入るような会社だったら、ガーデニング事業部を別ブランドで作ったりしているところはありますね。庭づくりでつながったお客さんにリフォームや建て替えを提案したりして。
安田
なるほど。別事業部としてあるわけですね。
渡邉

そうですね。住まい領域に関して細分化した形で、地域密着型でやっているところは昔からあるので。

安田
ただね、大手のハウスメーカーさんだと、どうしても「企画ありき」のイメージがあるんですよ。パッケージ化されたものをその敷地にはめ込むような印象があって。

渡邉

ああ、それはあるかもしれないですね。その土地や風景に合わせた提案、というのはなかなかやりたがらないかもしれない。

安田

それがもったいないなと思っていて。図面の段階から建物と庭を一緒に考えて、敷地全体でじっくりデザインされた住宅って、すごく高い価値がつくと思うんです。


渡邉

確かにそうですね。営業ロジックも立てやすいですし。とはいえ、「庭付きですごく素敵な住宅ですが、予算は倍になります」だとなかなか通らない。3000万の予算を急に6000万には上げられないわけで。

安田

なるほどね。そういう意味でも中古物件をリノベーションするというのはいい選択ですよね。というのも、100坪のお庭なら100万円くらいでリガーデンできるらしいんですよ。駐車場を使いやすくしたり、荒れ放題の生垣も取っ払って素敵な庭にできる。


渡邉
へぇ。それはいいですね。ハウスメーカーがリガーデンをした上で売り出す、という商売も成り立ちそうです。比較的安い別荘地の物件を買って、庭と家をセットできれいにして売ったり。
安田

そうそう。今売れ残っている空き家も、お庭をきれいにしてプラス150万とか200万で売れるようになるんじゃないかという気がしますね。

 


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

Facebook

1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

Twitter  Facebook

1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

感想・著者への質問はこちらから