第67回 スペシャリストと社員の上手な使い分け

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第67回 スペシャリストと社員の上手な使い分け

安田

外部から連れてきたスペシャリストがマネージャーになった場合、社員との関係性も今までとは違う形になりますよね。


渡邉

そうですね。野球選手は監督やコーチの部下ではないのと一緒ですよね。

安田

昔は「監督の言うことが絶対だ!」みたいな空気もありましたけど、最近はすごく気さくにコミュニケーションを取っていますからね。メジャーなんてむしろ選手の方が上なんじゃないかというくらい(笑)。


渡邉

確かに(笑)。気持ちよく野球ができる方が、選手のパフォーマンスも上がるということなんでしょうね。もちろん試合成績が下がれば簡単に2軍に落とされてしまうわけですけど。

安田

厳しい世界ですけど、それがあるべき姿なんだろうなと思います。


渡邉

実際、合理的ですからね。アメリカが特にそういう印象がありますけど、日本に比べたら海外はどこもそうかもしれませんね。日本は組織論でいうと一歩出遅れている感があるというか。

安田

そう思います。「終身雇用と年功序列によって日本の経済がここまで伸びてきたんだ」という人もいますけど、人口の増加に伴って経済が発展していた時代だから成り立っていただけで。


渡邉

うーん、確かに。時代が変わって今までのやり方が通用しなくなっても、日本ってどうしても保守的ですからね。リスクをとって新しいことにチャレンジするとか、なかなかそういう選択肢を選ばない。

安田

日本国内しか見ていないから、日本でまだやっていないことをやるのがリスクに見えるんですよ。でも世界という視点から見ると、今は日本全体が沈んでいる状態なんです。だから本当は今までのやり方を続けることの方がよっぽどリスクは大きい。


渡邉

本当にそうですね。一方で、労働者の価値観は世界基準になっている気がします。経営者の発想だけがまだ切り替わっていないというか。「自分はサラリーマンに向いてないから」というだけで経営者をやってる人が多いからなのかもしれませんけど。

安田

そういう人もいるでしょうね。経営者と言いながら、実際は営業や納品の仕事がほとんどだったり。経営者って本来は経営のスペシャリストがやるべきなんですけど。


渡邉

そうですよね。そうなると何をもって「経営者」というべきなのか。「経営」の定義から考えたくなります。

安田

人によって違うと思いますけど、私自身が経営者をやりながら辿り着いた結論としては、「時間とお金の使い方を考えること」じゃないかと。もちろん違った定義があってもいいんですが、「経営とはなんぞや」という問いに対して、自分なりの答えを持っていることが大事なんだと思います。

渡邉

経営者とは「経営」に自分なりの定義を持っている人だと。ちなみにそういう感覚があるかどうか、見分け方のようなものってあるんでしょうか?

安田

一番わかりやすいのは、「あなたにとって仕事ができるってどういう状態だと思う?」という質問をすることですね。


渡邉

なるほど! つまり「仕事ができる」ことの定義を自分なりに持っているかどうかということですね。

安田

ええ、そういうことです。それを常日頃から考えているかどうか。


渡邉

その場で慌てて考えているようではダメだと。

安田

「仕事ができるようになりたい」と一度でも真剣に考えたことがあれば答えられるはずなんです。でもほとんどの人は考えたことがないから、「指示通りにやることです」とか「目標達成することです」という答えになる。


渡邉

なるほどなぁ。そういう答えだと、考えてないことがバレちゃいますね。マネージャーも同じで、「マネージャーの仕事ってなんだと思う?」ということを聞かないといけないんでしょうね。

安田

そう思いますよ。私自身が考えるマネージャーの仕事は、「メンバーのやる気や能力を最大化させてパフォーマンスを上げること」だと思いますけどね。


渡邉

同感です。どれだけパフォーマンスを上げたかで評価されるべきですよね。AマネージャーよりBマネージャーの方がパフォーマンスを上げることができるなら、その分報酬は高くすべきだし。

安田

そうなんですよ。マネージャーになったからマネージャー手当を付けるなんて、冷静に考えたらおかしな話なんです。でも現状はそういう仕組みになっている。

渡邉

役職がついたら基本給に課長手当とか部長手当とかがもらえることがほとんどですもんね。

安田

そうそう。チームのパフォーマンスを100%発揮できることが一つのゴールだとしたら、300%発揮させられるマネージャーには3倍の報酬を払う価値があるわけです。

渡邉

それこそマネジメントのスペシャリストですよね。中小企業こそ、もっと柔軟にそういう外部の人を取り入れていった方がいい気がしますけどね。

安田

ええ、まさに。マネジメントのスペシャリストだけでなく、現場の仕事を教えるスペシャリスト、商品開発のスペシャリストと揃えればいい。そういう専門性の高い仕事は、社内で1人雇おうとすると割に合わないので。

渡邉

何社かでシェアした方がいいですよね。業務委託で働くプロ人材もどんどん増えていて、ピンポイント的な仕事も探しやすくなってますし。

安田

そもそも大手企業って、中小企業が100社とか1000社とか集まって一つの会社になっているようなものなんです。だからニッチな仕事でも人を雇うくらいの仕事量になる。でも中小企業はそこまでの仕事量にはならないので。

渡邉

確かに「資料を作るだけの人」とか雇えないですからね。

安田

雇えないですよ。その結果、マルチタスクでいろんな仕事をさせられて、パフォーマンスも発揮できずにどんどん赤字社員になっていくという悪循環なんです。

渡邉

その仕事だけで1人分の仕事量があるなら社員として雇えばいいでしょうけど、そうじゃなければ外部委託にした方が賢いですよね。

安田
その方が絶対に効率がいいですよ。

対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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