第75回 「顕在化した課題」と「潜在的なニーズ」の交点が成功の鍵

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第75回 「顕在化した課題」と「潜在的なニーズ」の交点が成功の鍵

安田

ビジネスの場では、「顕在化したニーズ」と「潜在的なニーズ」の違いが戦略の鍵になることが多いですよね。それでいうと、「潜在的なニーズ」に応える商品の方が利益を出しやすいと思うんです。顧客がまだ「答え」を持っていないので、提供する側が価格を決めやすい。


渡邉

なるほど。そうすると「顕在化したニーズ」に応える商品は、付加価値が低いということになるんでしょうか?

安田

そうは言い切れないと思います。確かに利益は出しにくいですが、ニーズが顕在化しているマーケットにも付加価値の高い商品やサービスは存在するわけで。例えば吉野家の牛丼なんて、顕在化したニーズを満たしつつ、付加価値を提供している代表例ですよね。


渡邉

間違いないですね(笑)。あの値段であれだけの価値を提供できているわけですから。

安田

ですよね(笑)。他にもセブンイレブンの鮭の切り身なんかも驚くほど美味しいですけど、あれが百貨店価格になると5倍くらいの値段になりますよ。つまり顕在化したマーケットでは、価格だけでなく「どうやって価値を出して利益に変えるか」が重要になるわけです。


渡邉

なるほど。そこを考えるのが「ビジネスの面白さ」なんでしょうね。

安田

仰るとおりです。顕在化したマーケットってお客さんが欲しいものがはっきり決まっていて、「電球が切れたから新しい電球を買いに行こう」みたいに明確な需要があるわけです。…それにしても、100円で部屋中を明るくできるって本当にすごいことですよね。


渡邉

確かに。普段何気なく使ってますけど、それを発明して工場を建てて生産しろと言われたら大変ですよ。

安田

そうそう。今ではこれだけ安く買えるようになりましたけど、ロウソクの時代に「実はすごいものが…」と電球を売ったら、どんなに高くても飛ぶように売れたでしょうね。潜在ニーズにアプローチする価値はまさにそこにあって。


渡邉

なるほど。もし今「どこでもドア」のような商品が出てきたら、潜在ニーズの塊ですよね(笑)。

安田

そんな革新的な商品が登場したら、価格設定も自由自在ですし、利益は計り知れないでしょうね(笑)。「潜在ニーズ」と聞くと難しいイメージがあるかもしれませんけど、お困りごとや課題が顕在化していれば、そこまで難しくはないんです。


渡邉

ワイキューブもそうでしたよね。「業績を伸ばしたい」という顕在化した課題に対して、「新卒採用」という顕在化していないソリューションを提供していたわけで。

安田

ランリグさんが手掛けている「その道のプロ」もまさにその例ですよね。顕在化している問題に対して外部のプロ人材を活用するのは、潜在的な解決策に近い発想ですから。

渡邉

確かに。特に住宅業界ではまだまだ新しい考え方だと思います。IT業界などではもう一般的ですが、住宅業界ではこれからという感じで。

安田

ともあれ、IT業界でもデザイナーとかエンジニアとか、割と決まった職種だけが業務委託化している印象ですよね。もっといろいろな職種で業務委託化が進められると思っているんですけど。


渡邉

それでいうと、最近はCFO領域でも外部人材の活用が進んでいます。資金調達や資金繰りのプロを外部から入れることで、会社の経営がスムーズに進むケースが増えてきているんです。

安田

なるほど。資金調達に強い人材って、銀行や投資家とのコネクションを持っていることが多いですし、社内に抱えるより外部人材を使う方が合理的ですもんね。


渡邉

まさにそうなんです。特に上場経験のあるCFO人材は大人気で。1人をフルタイムで雇うとコストが高いので、週に数日だけ業務を委託して複数の企業でシェアする形が広がってますね。

安田

それはニーズがあるでしょうね。上場に向けた体制づくりや会計事務所との交渉をすべて引き受けてくれるプロがいれば、企業側にとってもかなり助かるでしょうし。


渡邉

そうですね。プロジェクトマネージャーのような立ち位置で、企業の現状を把握した上で、必要なものを洗い出してチームを動かしていく。上場までの道筋を明確にして、全体を前進させてくれるんです。

安田

そういうニッチなニーズに応えられるプロ人材を当てはめていくのがいいですよね。真剣にやろうと思うとある程度の時間コミットする必要があるので、1人5社~10社くらいが限度だと思いますけど。


渡邉

同感です。年間で数社をサポートすることを前提に、報酬も逆算して設定できますから。実際、上場やM&Aを目指す企業は増えているので、そういったニーズに特化したサービスは非常に有望だと思います。

安田

そうですよね。ただ最近、M&Aや上場案件が少し増えすぎている感もあるので、業界を絞ってより専門的なサービスを提供することで差別化した方がいいかもしれません。

渡邉

それでいうと、特に住宅業界では職人不足や事業承継の問題が深刻化していて。そういった企業の売却のニーズも高まっているので、需要はかなりありそうです。

安田

ああ、なるほど。買う側としても採用コストを考えると、M&Aで会社ごと買った方が安いですから。IT業界をはじめとして、他の業界でも増えていきそうですね。


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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