第76回 中小企業で輝くマルチタスク人材

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第76回 中小企業で輝くマルチタスク人材

安田

大企業と中小企業では、「優秀な人材」の定義が全く違いますよね。大企業に入る人って、そもそも真面目で頭が良くて、さらに自己コントロール力が高い。まぁ、だからこそいい大学にも入れるわけですけど(笑)。


渡邉

確かにそうですね(笑)。

安田

さらに大企業ではスペシャリストとして一つの分野を極めることが多いので、その分野に関してはすごく価値が上がっていく。それに対して、中小企業ではマルチタスクをこなすことが求められますよね。


渡邉

営業だけ見ても、大手のように名刺交換して終わりではなく、もっと多岐にわたりますから。

安田

仰るとおりで。メール対応から商品開発まで幅広い仕事を任されるわけです。中小企業はそういうマルチタスク人材が支えていると言ってもいい。


渡邉

本当にそうですよね。一方で、大企業はゼネラリストからスペシャリストへのシフトが進んでいて、国全体もジョブ型雇用に変わりつつある。

安田

そうそう。その影響で解雇もしやすくなってきてますよね。ジョブ型雇用でその役割自体がなくなった場合は、会社としては一応別の役割も用意しますけど、合わなければそれでおしまいという感じで。


渡邉

確かに。ゼネラリストが全盛だった時代には、倒産しない限りなかなか解雇されませんでしたけど、今はもう状況が違うんですよね。でも大手にいた人って、優秀ではあるけど「中小企業では使い物にならない」と言われることも多くないですか?

安田

多いですねぇ。ただ逆も然りで、中小企業のマルチタスク人材が大手で通用するかというと、それも難しいわけです。まるでサッカー選手がテニスの試合に出るようなもので。


渡邉

ああ、なるほど。全然別の競技なわけですね。

安田

大手には生き残っていくための暗黙のルールがあって、それに従えないと厳しいですからね。そういう独特の文化やシステムになじめないことが多いんだと思います。


渡邉

確かに。中小企業ではマルチタスクをこなせる力が求められますからね。とはいえ高いレベルでマルチタスクをこなせる人ってなかなかいないのが現実ですけど。

安田

外部の交渉や広報もやって、社内の数字も把握して、さらにスケジュールの管理までしてくれる。そんな社長秘書のような立ち位置の人も中にはいるんですけど、あまり給料が高くないんですよね。稼いでいても400~500万円くらいだったりする。

渡邉

そうかもしれませんね。営業のような売上を上げてくる人の給料が高く設定されていて、バックヤードだと上限が決まってたりしますから。

安田

そうそう。でもそういう人って市場ではすごくニーズがあるんです。だからフリーランスで3社とか4社の仕事をすればめちゃくちゃ稼げると思いますよ。


渡邉

なるほど! 確かにフリーランスのマルチタスク人材、面白そうですね。

安田

ですよね。そういう市場のニーズを考えると、マルチタスク人材はこれからフリーランス化していく気がします。「その道のプロでは「マルチタスク人材のプロ」は紹介していかないんですか?


渡邉

紹介していきたいですよね。あとはどういう風に定義してコンセプトを作っていくか、です。CFOみたいに「CマルチO」のような感じとか……

安田

うーん、そこはあまりマルチタスク人材をひとくくりにせずに、1人1人をオリジナルに見せた方がいい気がしますね。


渡邉

なるほど。マルチタスク人材の中でも得意分野を組み合わせて商品化していくということですね。

安田

ええ。実際商品化も進んでますよ。社長のそばにいたらめちゃくちゃ重宝されるだろうな、という人で、会社を受けたらすぐ採用されるんですけど、事情があってフルタイムでは働けなかったりする人もいるので。


渡邉

へぇ、そうなんですね。具体的にはどんな商品なんですか?

安田

例えば社長個人のブランド力アップに特化したマルチタスク人材とか。狭い範囲で総合的に対応してくれるようなイメージですね。ちなみに渡邉さん自身はマルチタスク型だと思います?

渡邉

いやいや、僕はそんなに器用じゃないです(笑)。ただ、好奇心は強いので色々と試すのは好きで。だからいろんなことに手を出しますけど、得意かどうかは別問題ですね(笑)。

安田

中小企業の社長ってそういうタイプが多いですよね。だからこそ会社を成長させるタイミングでは、それぞれの分野を任せられる人が必要になる。

渡邉

ランリグでも、今まさに商品開発や人材調達などで役割分担していってるところです。あとはそれらをつなぐ「小麦粉的な人材」がやっぱり重要なんですよ(笑)。

安田

小麦粉的な人材、か。いい表現ですね(笑)。

渡邉

その時々で不足を補うというか、全体を見ながら必要に応じて臨機応変に対応できる人。安田さんの仰るマルチタスク人材とは少し違うかもしれませんけど、どちらも不可欠ですよね。


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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