第79回 住宅業界のリアルな転職事情

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第79回 住宅業界のリアルな転職事情

安田

今、住宅業界では人手不足が深刻ですよね。そのぶん採用活動も活発だと思うんですが、実際のところ、業界内で転職する人と、異業種から転職してくる人って、どちらが多いんですか?


渡邉

ある程度の年齢を超えると、業界内で転職する人の割合が増えてきますね。特に40代以降はその傾向が強いです。

安田

ああ、なるほど。じゃあ若いうちは異業種に行く方が多いんですか?


渡邉

そうですね。特に営業職に関しては、他の業界に行く人が多いです。BtoCの営業であれば、業種が変わってもスキルが活かせるというか、つぶしが効くので。建築業界は特にハードな部分が多いので、他の業界に移りたいと転職する人も少なくないですね。

安田

ふ〜む、なるほど。ちなみに住宅営業をやっていた人が転職する場合、どんな業界なら活躍できそうですかね。


渡邉

自動車や保険のような、単価が高めの商品が向いているでしょうね。住宅業界でも売れる営業マンって、ただ家を売るのではなく、その人の人生全体を提案している感じなんです。そういう意味で自動車や保険と近い部分がある。

安田

ああ、確かに。住宅営業って、「その家を手に入れた後の生活をどう豊かにするか」を提案してますもんね。車や保険もその根本的な部分は同じだと。


渡邉

仰るとおりです。まぁそれでいうと、商材に関わらず「お客様と信頼関係が築ける」ことさえできれば、どんな商材でも売れると思いますけどね。

安田

それはそうですよね。ちなみに他の業界から住宅業界に転職してくる人はどんな人が多いんですか?


渡邉

それもまたBtoC業界から来る人が多いですね。飲食業などのサービス業から転職してくる方も多いですよ。普通に接客をされていた方とか。

安田

ああ、確かに飲食業での接客だと、どんなに頑張っても稼ぐのには限界がありますもんね。住宅の営業の方がやりがいもありそうだし、稼げる印象もあります。そう考えると、営業の中では住宅の営業ってけっこう人気がありそうですけど、実際はどうなんでしょう?


渡邉

住宅の営業は確かにやりがいはありますね。特に新築は一次取得層という比較的若い方がメインターゲットなので、営業していても楽しいと思います。

安田

そうですよね。新生活に向けて一緒にワクワクできそうなイメージがあります。

渡邉

そうなんです。ただ実際には、ノルマが厳しい会社も多いですし、お客様の期待値が高い分クレームになった場合の対応が大変だったりもして。特にリフォームの場合は形のないものを売る難しさもありますし。

安田

なるほど。新築の建売のように仕様が決まっていない分、お客さんの要望も細かくなってくるわけですね。他の業種に転職する理由としては、その大変さが一番なんですか?


渡邉

あとは土日が休めないことも大きいですね。住宅業界はお客様対応が土日になることが多いので、世の中の皆さんが休んでいる時に休めないんですよ。

安田

ああ、そうか。確かにそうなると家族との時間を確保するのも難しくなりますもんね。ちなみに、施工管理やプランナーなどの技術職では事情が違うんですか?


渡邉

そうですね。施工管理やプランナー、設計といった技術職の場合は、そもそも同業種内での転職が多いんです。特に今は人手不足が深刻なので、引き抜き合戦が激しくて。

安田

へぇ。じゃあ転職すればするほど給料が上がっていくわけですよね。よっぽどのことがなければ今より安いところには行かないでしょうし。


渡邉

ええ、まさに。今、施工管理の20代でも、年収600〜700万円で転職できるケースが増えています。大手ハウスメーカーなんかでは、20代でも施工管理経験者をいきなりその年収で迎えることもありますね。

安田

それはすごいですね。前の会社で年収400万円だった人なら、いきなり200〜300万円アップすることもあると。特に現場系の人材は引く手あまたでしょうね。


渡邉

そうですね。現場は人がいないと回りませんから。

安田

じゃあ専門性の高いスキルがある人は、今まさに転職のチャンスが来ているわけだ。

渡邉

そうなんです。ただこれが難しいところで、施工管理をやってる人って性格的に慎重というか、一つの会社でじっくり腰を据えてというタイプが多くて、あまり積極的に動かないんです。

安田

そうなんですか! 職種によって性格の傾向に違いがあるんですね。転職する人が少ないとなると、その分希少価値が上がりますよね。

渡邉

ええ、仰るとおりで。転職市場での相場もどんどん上がっています。

安田

なるほどなぁ。即戦力を採用したいとなると、営業以外は他の業界からは採用しにくいでしょうしね。そう考えると、住宅業界全体での人材確保って本当に難しいんですね。

渡邉

そうなんです。今後も人材不足は続くでしょうから、より柔軟な採用戦略が必要になってくると思います。


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

Facebook

1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

Twitter  Facebook

1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

感想・著者への質問はこちらから