第96回 子どもの「お小遣い制」はやめるべき?

この対談について

住宅業界(新築・リフォーム・不動産)の「課題何でも解決屋」として20年以上のキャリアを持つ株式会社ランリグが、その過程で出会った優秀な人材を他社に活用してもらう新サービス『その道のプロ』をスタートしました。2000名以上のスペシャリストと繋がる渡邉社長に、『その道のプロ』の活用方法を伺う対談企画。

第96回 子どもの「お小遣い制」はやめるべき?


渡邉

今日は安田さんに聞いてみたいことがあるんです。僕自身も親として日々子どもと向き合う中で、子育てって難しいなぁと感じることが多々あって。

安田

確かにねぇ。何を教えたら将来困らないか、親も先生も答えを持っていなかったりしますから。


渡邉

そうですよね。そういう中で「これはどの時代でも不変だな」と思うことは教えるようにしてるんです。例えば「あちらからいただくより、こちらから与え続ける」とか。

安田

ギブの精神ですね。


渡邉

そうですそうです。そういうのはいつの時代でも変わらないだろうと。あとは「相手の立場になって考えなきゃいけない」とか「自分が提供したいことじゃなくて、相手が欲しいものを気づかせてあげることが大事」とか。安田さんはどうしてますか?

安田

うちの子はもうすぐ小学生になるんですが、お小遣い制だけは絶対にやめようと思ってるんです。お小遣いって、会社員の給料みたいに「毎月この日にいくらもらえる」って決まってるじゃないですか。それって冷静に考えたら理にかなってないような気がして。


渡邉

なるほど。何かの対価としてもらっているわけじゃないですからね。

安田

そうなんです。だから例えば、掃除を手伝うとか、自分のことじゃなくて、自分以外の人の役に立つことをしたらお金がもらえる、という形にしようと思っていて。そうすれば「仕事とはこういうものだ」って覚えられるんじゃないかと。


渡邉

何か欲しいものがあったら、「お父さんやお母さんが喜ぶようなことをやってみたら?」って言うわけですか。

安田

そうそう。で、それができるようになったら、今度は家の外でも試してみる。つまり「外貨を稼ぐ」ということを、小学校5年生くらいまでには自分でビジネスをやって稼ぐ訓練としてやらせたいんです。


渡邉

すごいなぁ。お金の英才教育ですね。

安田

結局、仕事の本質って「相手が喜ぶこと」「困ってることを解決してあげること」ですから。「ギブの精神」と同じで、「人はどういうことをやってもらうと喜んで対価を払いたくなるのか」が大事だと思うんです。

渡邉

確かにそうですね。でも、「お金をもらわないとやらない子」に育ってしまいませんかね。

安田

実際、よくそう言われるんですよ。「カネカネ言う子どもになるんじゃないか?」って心配されたり。でもそういう人たちは「お金」を特別視しすぎなんですよ。お金って結局、道具と道具を交換するためのツールでしかないじゃないですか。


渡邉

なるほど。道具としての使い方を教えればいいと。

安田

そういうことです。パソコンの使い方を教えるのと同じで、お金の使い方も教えればいいだけの話だと思うんですよ。「人の役に立つことをすれば、その相手が喜んでくれる」。つまり、AがBに喜ばれることをすると、BからAにお金が渡る」、ただそれだけのことなんです。


渡邉

確かになぁ。むしろお金から変に遠ざけてしまって、「1ヶ月働けば自動で給料が振り込まれる」という発想になる方が不自然なのかもしれませんね。…ちなみに、実はうちもお小遣い制じゃないんです。

安田

へぇ、そうなんですね。じゃあどうやってお金をもらうんですか?


渡邉

「これに使いたいからこれくらい必要」と、子どもが自分で考えて言ってくるっていうスタイルですね。僕が機嫌のいいときの方が成功率が高いというのはありますけど(笑)。世の中の理不尽さも合わせて体験してもらった方がいい気がしているので。

安田

なるほど。あえて理不尽な経験をさせていると(笑)。理不尽が必要かどうかはさておいて、世の中を知ることは重要ですよね。それでいうと、うちはインターナショナル幼稚園に通わせているんです。将来自分で選択できるようになった時に、「どういう教育を受けるか」を国内外問わず選べるようにしたいなと。


渡邉

いや〜、さすがですね。確かに、自分の意志で考える力をつけるのは大事ですもんね。あと大事なのは、プロセスを重視することですかね。結果は運の要素もあるわけで、それよりも「自分が納得のいくプロセスを踏めたかどうか」だと思うので。

安田

プロセスしかコントロールできませんからね。そういう意味では、「どういう仕事が稼げるか」も結果論ですよね。どの時代に生きるかによっても変わりますから。

渡邉

そう考えるとやっぱり、「人に喜んでもらうこと」「ギブすること」みたいな普遍的なことが重要になってきますよね。人に必要とされる人は、どんな時代でも生きていける。子どもには「人を知ることが一番大事だ」と教えたいですね。

安田

間違いないですね。人間にはコインの表と裏のように両方の面があると思うんです。すごく賢くて、いかに無駄をなくすかって考えられる面と、非常に非効率で無意味な馬鹿なことをする面。例えばガンガンに効率化して稼いだお金で銀座で飲み明かすとかね。

渡邉

確かに(笑)。どっちの面もあって人間なんですよね。

安田

本当にそうで、人間って計算高い一方で、最終的には感情で判断する生き物ですから。いずれはそういう部分も知っていってほしいですね。

 


対談している二人

渡邉 昇一(わたなべ しょういち)
株式会社ランリグ 代表取締役

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1975年、大阪市に生まれる。大学卒業後、採用コンサルティング会社ワイキューブに入社。同社の営業、マーケティングのマネージャー、社長室長及び、福岡などの支店立上げを担当し、同社の売上40億達成に貢献した。29歳の年に株式会社ラン・リグを設立し、今期20期目。述べ900社以上の住宅会社のマーケティング、人材コンサルティング支援と並行し、500店舗以上が加盟するボランタリーチェーン「センリョク」など、VC、FC構築にも多数携わる。また、自身が司会を務め、住宅業界の経営者をゲストに招き送る自社のラジオ番組は、6年間で、延べ300回以上の配信を経て、毎月2万人以上の業界関係者が視聴する番組に成長した。今年5月には、2000人以上のプロ人材とのネットワークを生かした~社長の右腕派遣サービス~【その道のプロ】を本格リリース。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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