喫茶店は何屋さんなのか。
それは喫茶店屋さんに決まっているではないか。
そう答える人は、残念ながらビジネスセンスに欠けている。
そもそも喫茶店屋さんとは、誰に何を売る仕事なのか。
顧客にコーヒーやサンドイッチを売る仕事。
そう答える人もまた、ビジネスセンスに欠けている。
顧客は誰か。商品は何か。どうやって売るのか。
ビジネスとは詰まる所、その三つの要素を考える事でしかない。
顧客を定義出来ていない人は、顧客を集める事が出来ないし、
商品を定義出来ていない人は、
いい商品をつくることが出来ない。
日本には約7万店の喫茶店があるが、
同じ店は二つと存在しない。
立地、内装、メニュー、料金、サービスなど、
店によってバラバラだ。
もちろんチェーン店であれば、
その内容はある程度統一されている。
だがそれでも同じ店は二つとない。
ましてや個人経営の喫茶店に、同じ店など存在しないのである。
顧客は誰か。商品は何か。
その定義によって、立地も、内装も、メニューも、
料金も、接客方法も、変えなくてはならない。
本格的なコーヒーを楽しみたい人。
静かに考え事がしたい人。待ち合わせに使いたい人。
低単価でがっつり食べたい人。昼間からお酒を飲みたい人。
連載コミックを読みたい人。
お店に来る理由は人によって様々だ。
全ての人を満足させることは出来ないし、
満足させる事を考えてもいけない。
そんなことをしたら、
結局誰も満足させられない中途半端な店になってしまうからだ。
確かに喫茶店のメニューには、似たような商品が並んでいる。
コーヒー、紅茶、ジュース、
トースト、サンドイッチ、などなど。
顧客はそれらの商品を注文し、対価を支払う。
だがそれでも、
商品がコーヒーやトーストだとは限らないのである。
顧客が買っているのは空間かもしれないし、時間かもしれない。
喫茶店だからコーヒーがあればいい。
ラーメン屋さんだからラーメンがあればいい。
そう考えてしまう人は、顧客や商品を定義出来ていない人だ。
当然の事ながら、繁盛店をつくる事は出来ない。
これはお店に限らず、どんな仕事でも同じなのである。
同じ会社で、同じ商材を扱っていたとしても、
売っているものも、売るべき相手も、一人ひとり違う。
それが分かっている人は、自分自身の顧客をきちんと定義し、
その人にとって価値のある商品を提供する。
当然の事ながら、特定の顧客からは選ばれ続ける、
なくてはならない人材になっていく。
私にとっての顧客は誰なのか。
私が提供出来る商品は何なのか。
つまり、私は何屋さんなのかを、
きちんと考えて生きていくこと。
それが人生を成功に導く最も重要なポイントなのである。
これは、どんな仕事をしていても、どんな場所で働いていても、
たとえ専業主婦だったとしても、学生だったとしても、
同じなのである。
私は、誰にとっての、どういう価値のある人間なのか。
所属している会社ではなく、名刺の肩書きでもない、
本当の自分の商売を見つけ出すのだ。
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