クライアントからギャラを提示されるフリーランス、
原価や市場価格を考慮して販売価格を決める会社。
残念ながら、それは儲からないビジネスのパターンである。
なぜなら、価格決定権を放棄してしまっているから。
儲かるか、儲からないか。
その境目は、間違いなく価格にある。
いくらで売るのか。
それが全てであると言っても過言ではない。
たとえば会社員やフリーランスのような、時間を売る仕事。
その場合、稼ぎに直結するのは時給である。
1時間当たり、いくらの報酬を受け取るのか。
クライアントからギャラを提示された時点で、
自分の時給は確定してしまう。
いかに早く仕上げるか。
いかにたくさんの仕事をこなすか。
多くのフリーランスはその方向に舵を切ってしまう。
結果、仕事量ばかりが増えて、時給は上がらない。
クライアントから見れば、安いギャラでたくさんの仕事を
こなしてくれるフリーランスの完成だ。
原価や市場価格をベースにして売値を決める会社も、
構造はまったく同じである。
自分で決めているように見えて、
実はマーケットに価格を決められている。
儲かるかどうかを決定づけるのは、商品の利益率だ。
時間を売るビジネスであれば、かけた時間に対する報酬額。
商品を売るビジネスであれば、かけた原価に対する利益額。
それが、儲けのバロメーターである。
クライアントやマーケットに価格を委ねる人たちは、
知らず知らずのうちに、
自分たちの価値を判断されてしまっている。
この仕事には5時間くらいかかるから、
ギャラは1万円でいいですよね。
この商品の原価は2000円だから、
売値は3000円でいいですよね。
という具合に、妥当な時給、妥当な利益額を、
相手に決定されている。
だが、何時間かかったか、原価をいくらかけたかを
基準にしている限り、劇的な利益率にはならないのである。
冷静に考えてみてほしい。
何時間かかったか。いくらの原価をかけたか。
そんなことは、商品の価値とは無関係である。
買った人に、どれほどの成果をもたらすのか。
それが全てなのである。
出来るだけ時間をかけず、出来るだけ原価をかけず、
劇的な成果をもたらす商材。
それが大きな儲けに直結することは、一目瞭然である。
では、劇的な成果とは何なのか。
それを考えることが、商品開発なのである。
当然のことながら、他社(他者)とまったく同じ商品が、
高く売れるはずがない。
未だない商品、未だないサービスを考え、
それが誰に、どのような価値をもたらすのかを明確にする。
10万円の価値をもたらすのであれば、
5万円払う人もいるだろう。
100万円の価値をもたらすのであれば、
50万円払う人もいるだろう。
それに何時間かけたか、
いくらの原価をかけたのかは、無関係だ。
価値の定義は人によって違う。
だからこそ、誰に、どのような価値をもたらすのかを、
自分で決めなくてはならない。
かかった時間やかかった原価でしか価値を判断出来ない人を、
顧客に選んではならないのである。
尚、メールマガジンでは、コラムと同じテーマで、
より安田の人柄がにじみ出たエッセイ「ところで話は変わりますが…」や、
ミニコラム「本日の境目」を配信しています。
毎週水曜日配信の安田佳生メールマガジンは、以下よりご登録ください。