日本は一人当たりのGDPが下がり続けている国である。
このままでは先進国最下位を通り越して、
途上国にも抜かれていくだろう。
人口が減り続ける中でGDPを維持するには
一人当たりの生産性を上げるしかない。
社員の給料を増やせ!生産性をアップしろ!
と国が会社に要求するのはそのためである。
しかし生産性は上がらない。給料も増えない。
上げろと言われて上げられるぐらいなら、
誰も苦労はしないのである。
人口が増えているときには、
どんどん規模を拡大すればいい。
スケールメリットで全体の生産性が上がり、
結果的に一人当たりの生産性もアップする。
途上国がやっているのはまさにこれ。
人口増加時代の日本がやってきたことだ。
人口減少フェーズではこの戦略が取れない。
ではどうすればいいのか。
文字通り一人ひとりの生産性を高めればいいのである。
しかし、ここには大きな壁がある。
それは個の壁である。
全体を高める戦略ならみんなで頑張ればいい。
だが一人ひとりの生産性は
みんなで高めるわけにはいかない。
自分の生産性は自分自身で高めるしかないのだ。
結果的に生産性の格差が生まれる。
それが貧富の差となって顕在化するのである。
どんどん拡大して生産性を高めるやり方は、
会社という組織に適している。
だが個々の生産性は拡大では高まらない。
無理やり拡大して売上を増やそうとすると、
一人当たりの生産性が逆に下がってしまう。
こうなると報酬は増えず、仕事だけが増え、
どんどん忙しくなり、人が辞める。
それが現在の状態なのだ。
本気で生産性を高めたいなら
一人ひとりに向き合うしかない。
人は一人ひとり違うからである。
この人は何が得意で何が不得意なのか。
何をやらせると機嫌がよく、
何をやらせるとストレスになるのか。
その人に適した仕事のやり方で、
心地よく働いてもらいながら生産性をアップして、
報酬を高め休みも増やしていく。
大変面倒なことであるが、
中小企業が生産性を高める方法はこれしかない。
報酬のみならず、
休みや、仕事内容や、人間関係も含めて、
社員一人ひとりの人生をより豊かにしていく。
そうすることで仕事が楽しくなり、人が辞めなくなる。
仕事を通じて人が成長し、生産性が上がっていく。
結果的に会社全体の生産性も
仕事のクオリティもアップする。
働きたい人や仕事の依頼が増えていき、
採用と集客のコストが下がっていく。
もしコストが増え続けているとしたら、
それは戦略を間違えているのである。
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