給料以上に働く意味

最低でも給料の3倍以上は稼げ。5倍稼げるようになったら一人前だ。30年前の社会人にはこれが常識だった。「そりゃあそうだよな」となんの疑問も抱かずに社員が働いてくれた時代。それは経営者にとってもやり易い時代だった。

今上司がこんなセリフを口にするとブラック企業だと叩かれる。SNSにアップされ採用に影響する。下手をすると顧客からの信用まで失ってしまう。給料以上に働かせようとする会社はおかしい。もらった給料以上の仕事をする意味が分からない。こう感じる社員が増えている。

確かに社員の側から見ればそうなのだろう。25万円の給料で、なぜ50万、60万の労働を要求されなくてはならないのだ。だが雇用する側から見れば当然の要求なのである。給料分の仕事しかしない社員ばかりだと会社に利益が残らない。経営者も株主も利を得ることができない。

そんな会社を何のために作るだろうか。社員が自分の利益のために働いているように、経営者も株主も利益のために雇用している。当たり前の話なのである。だがこの当たり前の話が通用しない。今はそういう時代なのだ。

内部留保が豊かな会社はどんどん報酬を増やしていくだろう。報酬を増やし、雇用を増やし、規模を拡大し、更なるスケールメリットを追求していく。だが中小企業にはこれが出来ない。人件費を抑えて、且つギリギリの収益で成り立っているからである。

若くて生きのいい人材は大きな会社に流れていく。マーケットに残った人材で中小企業の経営は成り立つのだろうか。正直言って私は難しいと思う。今でさえギリギリの収益なのだ。大手で利益の出せない人材を集めて、中小企業が利益を出せるとは思えない。

しかも彼らは労働以上の報酬を要求し続けるだろう。報酬を増やし続けるのは会社の責務だと信じているからだ。経営者はそろそろ決断しなくてはならない。雇用ではない新たな経営スタイルを確立するのだ。では雇用なしでどうやって組織を成り立たせるのか。

その答えは業務委託しかない。社員が1か月かけて出す成果を5日で出せる業務委託に1か月分の報酬を支払うのだ。会社の利益は毀損しない。業務委託は5日で1か月分の収益を得ることができる。win-winの関係が出来上がる。働く側にも覚悟が必要だ。大きな会社に転職するか、あるいは業務委託として自ら稼いでいくか。文句を言える雇用主はいずれなくなっていくのである。

 

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