情報が特別な意味を持つ時代が終わり「あって当たり前」の時代になった。情報はあっという間に業界全体に共有される。そこでは先に手がけることが必ずしも有利とは限らない。先にホームページを作る。先にWEB広告を出す。先にSEOに投資する。それで勝てていたのはもう過去の話である。
「勝てる期間」が極端に短くなってしまった。斬新なWEBサイトを作る。新たな切り口でWEB広告を仕掛ける。それが成功したとしても翌月には同業他社に模倣されてしまう。差別化できる期間があまりにも短く先行投資が回収できない。だから後出しジャンケンの会社がどんどん増えていく。
こうなると「差別化できるものは人しかない」と考え始める。商品ではなく「自分を売れ」と会社は言う。だが自分を売れる人は引く手数多だ。報酬が安ければすぐ転職されてしまう。人に依存するビジネスは人件費の高騰が止まらない。とはいえ人に依存しないビジネスではあっという間に真似されてしまう。
では一体どうすればいいのか。堂々巡りに思えるが答えはある。実にシンプルな答え。それは人で差別化しつつ「人が辞めない」会社である。そこではまずビジネスモデルが非常に重要となる。安売りしなくても選ばれるだけの価値が提供でき、同業他社が真似したくても出来ないビジネスモデル。
真似ができない理由は三つ。まず価値の生み出し方が非常にアンバランスであること。100人中3人にしか響かないビジネスは真似ることが難しい。二つ目は顧客との間にしっかり絆が結ばれていること。だから少ないターゲットでもビジネスが成立する。そして三つ目がそこに「特別な人」が介在していること。
特別な人を雇わなくても成果が出せるビジネスモデル。これはもう中小企業が生き残れる領域ではない。「この人でないと成果が出ない」という人材と「この会社だから成果が出せる」というビジネスモデルの組み合わせ。これこそが最強の組み合わせであり中小企業が手に入れるべきモデルなのである。
この人から買いたい。この人の作るものが欲しい。この人と一緒に体験したい。「この人じゃなきゃダメだ」という人材で差別化する。その人材が「ここでなきゃダメだ」と言ってくれる完璧な環境を用意する。人と働き方の究極の融合。この面倒なマッチングだけが自社のオンリーワン化を実現するのである。
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