上にAI下にロボット

国も会社も人不足。この先数十年、いや、もしかしたら永遠に、少子化が解消される未来は来ないかもしれない。若者の婚姻数がどんどん増え結婚した夫婦がみんな2人以上の子どもを産む。そんな未来を想像できる人がいるだろうか。もう人口は増えない。労働力はどんどん供給不足&需要過多になっていく。

行政もビジネスもインフラもサービスも人不足。それが確定している以上、どうやって生きていくのか現実的な対応策を考えるほかない。まず人間がやっている仕事をふたつに分ける。ひとつは頭脳労働。いわゆるホワイトカラーと言われる仕事。もうひとつが肉体労働。いわゆるブルーカラーと言われる仕事。

情報を集める、整理する、それを元に考える、判断する、未来を予測する、というホワイトカラーの仕事。ここに携わる人数を10分の1以下にする。これはAIを駆使すれば十分可能な数字である。例えば国の政策や予算編成に関してAIが3つのパターンをシミュレーションする。それを国民投票にかける。

集める情報の質も量も人間の比ではないし、分析も未来予測も人がやるより確かだ。癒着や忖度をする心配もないしAIの計算なら国民も納得せざるを得ない。使える予算は決まっているのだ。どこを削ってどこを手厚くするのか。その結果どのような未来が予測されるのか。これをAIがシミュレーションする。

出された3つのシミュレーションを国民投票にかけて多数決で決定する。これなら誰も文句が言えない。次に政策や戦略を実行するための肉体労働。ここでもAIは不可欠である。上のAIから降りてきた指示に従い下のAIが人間に指示を出す。上司とのコミュニケーションも無駄な会議も必要ない。

AIは人に無駄な仕事をさせない。基本的には機械やロボットに現場仕事をさせる。そのサポートを人間がする。行政サービスも、道路工事も、輸送も、調理も、接客も、商品説明も、AIがお膳立てし、ロボットが実行する。人間はその隙間を埋める。ここまでやってようやく労働力不足の先が見えてくる。

これはSF映画の話ではない。現実にここまでやらないと日本のインフラやサービスは維持できないのである。日本はどう考えても最先端のAI国家になるほかない。そう遠くない未来にホワイトカラー職は今の100分の1、1000分の1になり、国民の99%以上がブルーカラー領域の仕事をするようになる。

 

 

 

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