経営コンサルタントの倒産が相次いでいるそうだ。2024年度だけで151件。この統計に入らない小さな事業者の廃業を入れると何十倍という数になるだろう。そもそも経営コンサルタントと名乗る人の平均年収は100万円前後と言われている。誰でも名乗れる0円肩書きなのだから当然である。
この肩書きでまともに収入を得ている人は1%にも満たないだろう。億単位で稼ぐ有名コンサルタントを除けばその収入は微々たるものだ。生活のために様々な雑務を引き受けている姿が眼に浮かぶ。それは経営コンサルタントという肩書きからは程遠い姿である。なぜ彼らは経営コンサルタントを名乗るのか。
資格が必要なく誰でも名乗れる肩書きであること。知的で仕事が出来そうなイメージであること。間口が広く色んな仕事を受けられる可能性があること。恐らくこんな理由だと思われる。つまり集客力やブランディング効果を何も考えていないということである。倒産や廃業は当然の結果と言える。
まともなビジネス感覚を持った人ならこの肩書きは名乗らない。「経営全般どんなお悩みにもお答えします」という無名コンサルタントに仕事を依頼する経営者はいない、という事実が眼に浮かぶからである。いかにして「コンサルタントではない」と理解してもらうか。センスのいい人ならここを考える。
考えてみてほしい。「経理全般お引き受けします」「法律全般ご相談に乗ります」という税理士や弁護士にわざわざ仕事を依頼するだろうか。これで仕事が取れるのは大手有名事務所だけ。小さな事務所は「いかに専門性を際立たせるか」が勝負である。検索レッドオーシャンワードで勝てるはずがない。
それでも彼らには税務や法律という専門分野がある。参入障壁になっている国家資格もある。より間口が広く参入障壁の低い経営コンサルタントという肩書き。これを名乗ることがいかにセンスの悪いことかお分かり頂けると思う。では翻って自分が名乗っている肩書きを思い浮かべてみてほしい。
どういう業種を名乗っているのか。どういう職種名を付けているのか。「集客コストを下げたい」「採用力をアップしたい」と言いながら、違和感も特別感もない肩書を付けていないだろうか。それは稼げない肩書きである。ネット検索時代において、肩書きとは最も安く人を集める武器なのである。
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