この商品、この体験には価値がある。と感じる人が多い市場は儲かりそうな気がする。だがそこは多くの企業が狙うレッドオーシャン。多数が狙えば価格競争が発生し、当然のことながら利益は減少する。他者と競争せず利益を独占したいと願うなら、まだないニーズの掘り起こしが必須なのである。
まだ誰も欲しいとは思っていない商品。実はここに利益の源泉がある。新たなニーズを掘り当てれば自分だけのマーケットが手に入り、利益を独占することができる。ただし深すぎるお宝は狙わないこと。少し掘れば出てくるニーズを狙うことで、時間と資金の投資を最小限に抑えることができる。
掘り起こすべきは商品ではなく欲求である。まだ本人でさえ気がついていない「欲しい」という欲求。それを掘り起こすのだ。掘るために必要なのはスコップではなくロジック。そして感情を刺激するメッセージとデザイン。何となく興味を持ち、そのロジックと世界観に触れているうちに欲しくなっていく。
小さな会社やフリーランスには独自の商品開発が必須である。まだないニーズを掘り起こし、まだない価値を具現化して自分だけの商品を作る。この作業をやらないまま商売をすると、安い下請け仕事を受け続けることになる。なぜなら顧客の中に買いたい商品がすでにイメージされているから。
買いたい商品が決まっている場合、次に取る行動は「条件のいい販売者」を探すことである。選ばれるには「安く、早く、便利」な条件を出すほかない。つまり行き着く先は同業者との利益の削り合いなのだ。こうならないために独自のマーケットを手にいれる。そしてそれは啓蒙からスタートする。
まだ欲しいと思っていない人に「この商品、この体験には価値がある」と感じてもらうための啓蒙。このひと手間が自分だけのマーケットを作り出す。まず練り上げるべきはロジックである。もし自分が顧客だったら興味をそそられる話。それを全部聞いてしまったら買いたくなってしまうストーリー。
気づけば欲しくなっている。その裏側には必ず仕掛けがある。それはメッセージとデザインを織り交ぜた啓蒙活動。ターゲットが触れると「欲しい」という感情が芽生える仕掛け。価値とは絶対的なものではない。人が信じればそれは価値となる。いかにして信者を増やすか。これが利益の本質なのである。
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