日曜日には、ネーミングを掘る #034 渋谷とSHIBUYA

今週は!

先週は「今週は!」の挨拶を忘れてしまったので、今週は「今週は!」から元気に始めます(ややこしいな笑)

先週のブログでは、街の再開発で消え行くお店のことを紹介しましたが、それを書いたことで、改めてお店の名前(ネーミング)のことが気になりました。お店の名前って、やっぱり時代時代の流行や傾向みたいのがあって、昔と今では違うわけですが、そのあたりをちゃんと知っておきたいなと思ったのです。

で、そうだ!ちょうど良いサンプルがあるではないか、と思い浮かんだのが、『SHIBUYA STREAM』と『渋谷のんべい横町』なんですね。もうこの名前からして、平成が終わろうとしている今VSずるずるの昭和って感じですが、両者に出店するお店の名前を比較してみたら、流行や傾向がなんとなくわかるんではないかなと思ったわけですね。

まず足を運んだのが、東急東横線渋谷駅の旧ホーム後にオープンした『SHIBUYA STREAM』。グーグルの本社がビルに入居することでも話題になった地区ですが、1Fから3Fが飲食店街になっています。スターバックスやDEAN&DELUCAなどのメジャーチェーンを除くお店は、26店舗。名前と業態は、以下の通りです。

墨国回転鶏酒場(メキシコ大衆料理)THE GREAT BURGER STAND(アメリカンレストラン)GH ETHNICA(カルフォルニア×エスニック)LEMONADE by Lemonica(レモネード専門店)ビストロるぅぱんSAKABA&CAFĒ(洋風酒場カフェ)酢重Indigo(蕎麦 酒 穀米)bar ā vin CROISĒE(フレンチバール)かつおとぼんた(出し×お米×お酒)スパイス リップ(タイ&アジアンビストロ)Petalo(プロシュッテリア・バール)LUKE’S LOBSTER(ロブスターロール専門店)ANTICA FORNERIA by ELIO(イタリアン)MEAT TAVERN 煮込みや四兵衛(洋風おばんざいと煮込み酒場)BaKING SHU(こだわり惣菜パンとカフェ)CITYSHOP PIZZA(ピザ)CHICKIN KITCHIN(鶏焼肉)土鍋炊ごはん なかよし(和定食)XIRINGUITO Escribā(スペイン料理)圓 弁柄(和食)串亭(日本料理・串揚げ)SUSHI TOKYO TEN、(寿司)大連餃子基地DALIAN(餃子・中華料理)TEPPAN KITCHEN(鉄板料理)Wine no Ruisuke(石窯焼チキン・バル)なかめのてっぺん(海鮮・炉端居酒屋)クラフトビールタップ グリル&キッチン(クラフトビール レストラン・ビアバー)

欧米で話題のお店から地元店まで、いろいろ引っ張ってきたなという感じですが、店名にはざっくりと3つの傾向があるように思います。

「外国語表記」「組み合わせ」「ひねり」です。

「外国語表記」に関してはご覧の通りですが、英語だけでなくフランス語・イタリア語・スペイン語のほか、SAKABA、SUSHI、TEPPANといった今ではあたりまえになった日本語の英語表記も目に留まりますね。

「組み合わせ」というのは、複数の単語を並べて店名にしていること。串亭以外は全部そうだといってもいいでしょうね。THE GREAT BURGER STANDとかビストロるぅぱんSAKABA&CAFĒとかMEAT TAVERN 煮込みや四兵衛とか、正直なげーなぁと思います。ネーミングはシンプルとわかりやすさが基本ですが、最近のお店はそれよりも単語の組み合わせによってこだわりやストーリーを感じさせる方に重きを置いているのかもしれません。

3点目の「ひねり」は、「遊び」と言い換えても良いですが、言葉にちょっとした工夫を入れているということです。例えば、墨国回転鶏酒場(メキシコ料理をあえて漢字で表記)、LEMONADE by Lemonica(同じような単語を重ねて言葉の調べをつくる)、BaKING SHU(baking=パンを焼く、を変形)、圓 弁柄(円を、あえて旧漢字)、大連餃子基地DALIAN(あえて大仰に)、といったようにひねりを入れて印象付けています。

この3つの傾向は、商業施設にせよ街場にせよ、最近のお店全般にいえるように思います。

さて、『SHIBUYA STREAM』から歩いて数百メートル。宮益坂の交差点を渡って左に曲がり、線路沿いの細道を入ると、半世紀前にタイムスリップしたかと思うような異空間が現れます。ここが『渋谷のんべい横町』です。長さ50m幅15mに満たない狭いエリアに、飲食店が所狭しと軒を並べています。外国人の姿も多く、私も学生時代を渋谷で過ごしたこともあって、ときどきお世話になっています。個性豊かな38軒の店名は、以下の通り。

えのきⅡ 沙門 直ちゃん 串木乃 緋芽 ビストロダルブル 淡路 トランド Curva 莢 Bouteille 和かな はな Tight 並木 酒呑堂 まぐろ処 ふじまさんち 水車 家庭料理たむら 和 みや 紫水 小料理たぬ公 黍 Bar calms 蓮 松菊 会津 APPRE 月桂冠 えのき 野川 やさいや 鳥福 BAR amulet-d なだ一 ちょっとよってって

説明は不要かと思いますが、『SHIBUYA STREAM』にあるお店とはまったく異なる世界がここにはありますね。店名の特徴は、(何店かの例外はあるにせよ)「日本語表記」「一単語」「まっすぐ」。

シンプルでわかりやすい分、店名の向こうに生きている人の姿が見え、いろんな想像が巡ります。

直ちゃん(きっと子どもの頃のあだ名なんだろうな)、酒呑堂(お酒が好きで好きで始めちゃったんだろうな)、松菊(花街での芸名かな)、会津(故郷にまだ家はあるのだろうか)、ちょっとよってって(いろいろ考えてこうなっちゃったんだろうなぁ)とか、などなど。

Stream. 絶え間なく時が流れていきますね。

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