日曜日には、ネーミングを掘る #041 誰かと作った何かをきっかけに創ったモノを見ていた者が繕った何かはいつの日か愛するものが造った何かのようだった。

今週は!

今回のブログのタイトル、長いです。
55文字もあります。

じつは、これ、
若手人気俳優の菅田将暉さんが、
俳優生活10周年を記念して
発売する本の書名。
自分で考えて付けたそうですが、
個性派として知られる
役者さんだけあって、
なかなかユニークなネーミングですよね。
「、」「。」のない一文のなかに、
同じ単語の繰り返しや
同音異義などの言葉遊びもあって、
文学的な才能を感じます。

通常、本のネーミングは、
『バカの壁』とか『嫌われる勇気』とか、
短くて、インパクトがあるものが基本です。
でも、この本のように長~いタイトルだと
逆に気になって手に取ってしまう
というケースもありますよね。

村上春樹さんの小説のタイトルも
長いものが結構多くて、初期の傑作

『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』

がそうですし、比較的新しい

『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』

もなかなかの長さです。

ちなみに、
日本で発売された本のなかで
いちばん長いタイトルは、
画家の横尾忠則さんの

『悩みも迷いも若者の特技だと思えば気にすることないですよ。皆そうして大人になっていくわけだから。ぼくなんかも悩みと迷いの天才だったですよ。悩みも迷いもないところには進歩もないと思って好きな仕事なら何でもいい。見つけてやって下さい。』

らしいですね。
菅田本の約2倍、114文字あります。
さすが横尾さん、
本のタイトルも普通じゃありません。

ところで、今回、菅田本をきっかけに、
音楽や映画でも長いタイトルはないかと
16センチほど掘ってみたのですが、
ちょいと面白いものが出てきました。
『内核の波』というインディーズの
バンド(2011年に解散)の、これです。

『すっげー深い穴を見つけたんだ!今から飛降りるよ。存在証明なんかじゃない、この深さなら誰にも見付かる事はないだろ?生まれてしまった償いをしなきゃいけねぇんだ、生きる事と死ぬ事によって。俺はもう立派に一つの精神として立った。これ以上殺生を繰り返す理由なんて何処にもみつからねぇよ。そもそも人は今しか生きられねぇ、常に生きているのは今だ。でも「今ここ」と想ったその瞬間には既に過去になっているわけで、次々に未来が押し寄せては今を認識する間もなく過去になる。「生」という刹那を証明するのは不可能だろ。証明しようとする時には常に過去のモノとなり生きていたという記憶にすぎねぇ。つー事は、生きていようと死んでいようとそんなもんどっちだって同じじゃねーか。だったら俺は希望に向かってスペシャルダイブ!』

どうです。すっげーでしょ。
このバンドは曲に長いタイトルを
付けることで有名だったらしいのですが、
なかでも、これはなんと343文字もあり、
ブログの全文字数の約4分の1を
占めてくれちゃっています。

もし原稿料があったら、
ちょっぴり払わないと
いけないところでした。

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