日曜日には、ネーミングを掘る ♯112「妄想竹」

今週は。

わが家の近所に、
報国寺というお寺がある。

境内に見事な竹林があるところから、
「竹寺」の愛称で知られている。

じゃらんやトリップアドバイザー
などの旅行サイトでは
訪れたい鎌倉名所ランキングの
トップ5に入るほどの人気スポット。
新型コロナが流行する以前、
最寄りのバス停はいつも
国内外の観光客であふれていた。

このバス停のそばに店を構える
一軒の和食屋がある。

オープンして3年ほど経つだろうか。
界隈には食べものを扱っている
お店がほとんどなく、
和食店ができると聞いた時には
いまかいまかと心待ちにしたものだった。

期待は、見事に外れた。

いわゆる観光地にありがちな
お店だったのである。

たとえば、メニューである。
地元産の新鮮な魚を
つかった海鮮丼やシラス丼。
鎌倉野菜のてんぷら。
なぜか馬刺しまであるのは、
毎年、鶴岡八幡宮で開催される
流鏑馬から連想したのであろうか。

こだわりの食材を
大将が心を込めて料理しています。
という手描きの宣伝文句と
店先にはためく
スーパードライののぼり。

ものは試しと
一度だけ入らせてもらった。

味はわるくない。
雰囲気もわるくない。
接客もわるくない。

しかし、わるくないは、
良いとは違うのである。

市内には味も雰囲気も
もっと良い店がたくさんあり、
それっきり入っていない。

が、毎日、店の前は通る。
気にはなるのである。
とくに、夜。
本来なら稼ぎ時の時間、
誰もいないカウンターで
ぽつねんとしている
奥さんの姿を見ながらの家路は
なかなかつらいものがある。

来年は、いや、
明日は大丈夫ですか?
つい声を掛けたくなる。

さて、ここからが本題である。
このお店、私ならどうするだろう。
というのが、今週のブログのテーマ。

店舗経営のプロである
辻本さん(ブログ連載中)には
笑われるかもしれないが、
門外漢であることを承知で書いてみたい。

私ならまず
現在のメニューを全部やめて
観光客に絞った
1種類のお弁当だけにする。

報国寺(竹寺)にあやかって、
その名も「竹林弁当」である。
太目の孟宗竹を20㎝程度の長さに切って、
縦に二つに割り、皿とする。
これならインスタ映えもするし、
エコでもある。

この上に10品程度の料理を
懐石風に盛り付ける。
地のものを使った献立は
季節によって変える。
親方には腕を存分に振るって
もらうことにしよう。
数も思い切って限定する。
平日は20食、週末祝日は50食。
これでも毎回バス停で並ぶ
観光客の一列分にも満たない。
値段は、素人なのでなんとも言えないが
2,000円前後といったところだろうか。

お弁当とは別に、
小ぶりの孟宗竹を水平に切り、
容器とした和風プリンか
杏仁豆腐を用意する。
こちらは奥さんの担当とし、
お土産としても販売するのはどうだろう。

偉そうに書いてしまったが、
要するに、竹でものすごく有名な
寺の門前にあるというメリットを
活用すればよいだけなのである。

どうだろう。『百舌(もず)』さん。

自粛があける、その前に。

ブルー・オーシャン戦略は、未知の新大陸を探しだす作業ではありません。
新たなブルー・オーシャンは今いるレッド・オーシャンの中に無数に存在するのです。

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