変と不変の取説 第24回「コントロールからサポートへ」

「変化だ、変化だ、変化が大事だ」とみなさんおっしゃいますが、会社も商品も人生も、「変えなくてはならないもの」があるのと同様、「変わらないもの」「変えてはならないもの」もあるのです。ではその境目は一体どこにあるのか。境目研究家の安田が泉先生にあれやこれや聞いていきます。

 第24回「コントロールからサポートへ」

前回第23回は「北朝鮮とキューバ」

安田

最近、猟をする女子が増えてるそうです。

狩猟女子ですよね。

安田

ちょっと前は、農業をする女子も増えてたじゃないですか。

農ジョでしたっけ。

安田

農業とか漁業とかマタギとか、なぜか急に人気が出てきたんですかね?

自由度が高くて、「かっこいい」っていうイメージなんじゃないですか。

安田

かっこいい?

かっこいい。そのスタイルが。

安田

確かに。昔は「漁師のオヤジに憧れて、跡を継ぐ」みたいなのが普通だったんでしょうね。

自分の父親だけじゃなくて、周りにそういう人がいっぱいいたんですよ。昔は。

安田

今は周りに会社員しかいませんもんね。

だから最近、地方自治体とかが「体験ツアー」みたいなのを企画してますね。

安田

それは、後を継ぐ人を増やすためですか?

そうです。体験した人が弟子になったり、そこに移住したり。だんだん、そういう人が増えてきてますね。

安田

勝手なもんですね。

どうしてですか?

安田

だって、JAなんて米作りする人を規制してたし、漁協だって既得権みたいなので参入を阻んできたじゃないですか。

漁業権ですね。

安田

泉さんから見ると、JAとかって必要なんですか?単なる既得権のようにも見えちゃうんですけど。

産業が発達してないときは必要だったんですよ。インフラを整備したり、農家の人たちにお金を貸したり、情報を提供したり。

安田

なるほど。

それで「農家の人たちが助かった」という時代があったのは事実。でも、それは昭和の時代。今は情報もあるし、自分たちで発信もできる。

安田

自分で販売もできちゃいますもんね。

販売もできちゃうので、要らなくなってきている。

安田

でも、「農協から外れるといじめられる」みたいな噂も聞きます。

農協の集まりに呼ばれなくなるので、そういう意味では「あいつなんやねん」みたいな感じにはなるでしょうね。

安田

今後どうなると思いますか?今のままJAとかが残るのか、個人でやる人が増えていくのか。

個人の起業家みたいな人たちが、後継者のいない現場をどんどん引き継いでいくと思います。

安田

そういう人たちは、JAからは離れていきますよね。

自分たちでシステム化して、自分たちで販売ルートもつくっていくんじゃないですか。

安田

そうですよね。

多角経営で、地産地消のレストランをつくってみたりとか。そういうのが増えてくるような気がします。

安田

特徴のある野菜とか、高級なイチゴとかに特化してる農家さん、いるじゃないですか。

はい。ああいうのって、すごく日本人に向いてると思いますよ。

安田

寿司のシャリにしたら抜群のコメとか、そういうのをつくるの上手ですよね。

すごく上手です。

安田

だけど、そういう特徴的な農家さんだけだと、日本全体の米の需要は賄えない。そういうのはやっぱりJAが仕切るべきなんですか?

全体最適を考えてる人たちが、そういうバランスを考えて投資してると思いますけど。この先はどうなんですかね。

安田

なくなる可能性もあると?

JRとかJTとかも、昔はぜんぶ国が管理してたんですけど。今は民営化してますから。

安田

農協もだんだん民営化していくんですか。

少なくとも、いまの農協の力は弱っていくでしょうね。

安田

個人の采配がどんどん認められるようになって、多様化していくってことですよね。

そうなるでしょうね。

安田

安いコメとか、ジャガイモとか、国内で作る人は減っていくかもしれませんね。

より付加価値の高い野菜を作る人が、増えていくでしょうね。

安田

そうなったら、食糧自給率はどうなるんですか。

これだけ国際的な流通がしっかりしてるので、国として「自給率上げるぞ」っていうのはもう必要ないんじゃないですか。

安田

でも北朝鮮なんて、食糧を輸入できなくて大変なことになってますよ。むかしの日本も、石油を止められて戦争になったじゃないですか。

だから外交手腕が大切なんですよ。食糧自給率はたぶん上がらないので、いろんな国と貿易をして生きていけるようにすること。

安田

食糧自給率を上げるよりも、外交で仲良くしておく方が現実的だと。

そう思いますね。

安田

でも、どうなんですか。今はアメリカと仲がいいですよね。

はい。

安田

アメリカがもっと閉鎖的になって「日本はもう、自分で好きなようにしてください」となったら、困りませんか?

ぜんぜん困らないと思います。

安田

アメリカとの貿易が減っても困らない?

アメリカ以外の国とちゃん提携すれば問題ないですね。相手国の農業を発展させて逆輸入してもいいし。

安田

なるほど。じゃあ、農家さんには好きなものを作ってもらって、それで足りなければ輸入すればいいと。

そうです。

安田

国がコントロールする必要はないと。

コントロールするんじゃなくて、規制を外したり道筋をつくったりして、その流れを促進していくべきですね。

安田

本当は、国としても民間に任せたいんですかね。

今はそうなんじゃないですか。民間に任せた方が競争力も高くなりますから。

安田

コントロールするほど、弱くなっていきますもんね。

そうなんですよ。官僚とか政治家にはビジネスのことは分からないので。

安田

ウエブに情報も溢れてるし。

情報も手に入るし、発信もできるし。自分でやろうと思ったら、何でもできるじゃないですか。

安田

確かにそうですね。

インフラを整えるまでが国家の仕事。整えた後は、もう任せた方がいい。

安田

もうインフラは整っていると。

農業だけじゃなく、教育や労働環境も、そろそろコントロールを手放した方がいいです。

安田

これ以上、国がコントロールしても、ろくなことがないと。

その通り。

…次回へ続く…


場活師/泉一也と、境目研究家/安田佳生
変人同士の対談


| 第1回目の取説はこちら |
第1回:「変わるもの・変わらないもの」
長い間、時間をかけて構築された、感覚や価値観について問い直します。

ブルー・オーシャン戦略は、未知の新大陸を探しだす作業ではありません。
新たなブルー・オーシャンは今いるレッド・オーシャンの中に無数に存在するのです。

感想・著者への質問はこちらから