変と不変の取説 第58回「変わりたいのは誰?」

「変化だ、変化だ、変化が大事だ」とみなさんおっしゃいますが、会社も商品も人生も、「変えなくてはならないもの」があるのと同様、「変わらないもの」「変えてはならないもの」もあるのです。ではその境目は一体どこにあるのか。境目研究家の安田が泉先生にあれやこれや聞いていきます。

 第58回「変わりたいのは誰?」

前回、第57回は「必要悪と不必要善」

安田

ぜひ泉さんに聞いてみたいことがあります。

なんでしょう?

安田

なぜ日本人はこんなに自民党が好きなんですか。

好きなんですかね。

安田

だって今回の「桜の会」問題とか。その前も「カケ何とか問題」とかあったじゃないですか。

モリカケですね。

安田

そうそうモリカケ。普通だったら致命的な問題ですよ。でも結局、選挙をやると自民党が大勝する。

そうですね。

安田

なぜ自民党がこんなに勝ち続けるのか、不思議でしょうがないんですけど。

自民党って元々「日本民主党と自由党」とガッチャンコして出来たんです。結党以来38年間政権が続いた。

安田

なぜくっついたんですか?

社会主義と対抗するためですね。主には。

安田

なるほど。でも、もはやその役割は終わってますよね?

はい。それで細川さんのときに1回ターンオーバーされたんです。

安田

そんなこともありましたね。瞬間的に政権が社会党の連立政権に移った。

はい。けど結局そっちの「もうひとつの軸」が弱すぎたんですよ。

安田

政権担当能力がなかったと。

それが決定的になったのが民主党政権のとき。

安田

あの時はすごい盛り上がりでしたけど。

自民党が長すぎてみんな嫌気がさしてて。色んな癒着もあるんだろうということで、代えようってことになった。

安田

で、民主党に政権が移りましたよね。

はい。結果的にはあれが決定的に自民党を強くしちゃった。

安田

それはどうしてですか?

実力が分かっちゃったから。「選択肢が他にはない」って国民が気づいた。

安田

そんなに酷かったんですか。

「酷かった」と国民は思ってますね。

安田

自民党も大して変わらない気がするんですけど。そんなに景気もよくなってないし議員数削減もしてないし消費税は上がるし。

正直そんなに変わらないですよ。そもそもやるべき事は同じなので。

安田

ですよね。消費税だけじゃなく、国民が嫌がるような改革もやらなくちゃいけない。

そうです。

安田

なのに選挙をやったら、みんな自民党に入れるじゃないですか。

自民党の方が圧倒的に選挙が上手なんですよ。

安田

民主党は下手だと。

まず基本的に民主党は労働組合とかに強いじゃないですか。

安田

そうですね。

だから社会主義系なんですけど、労働組合はどんどん弱くなり、そういう業界団体も力がなくなってる。

安田

自民党はどうなんですか?

自民党は経団連よりですね。で、大企業とか経営者の方は自由主義経済がいいので自民党に流れていく。お金もそっちに流れるし。

安田

お金も流れるんですか?

選挙って基本的にお金ですから。

安田

やっぱ、お金で決まるんですか。選挙は。

はい。民主党はお金がないので選挙に負けちゃう。

安田

民主党は政権をとったときに、なぜお金を掴んどかなかったんですかね。

その辺がやっぱり下手くそな人が集まってるんじゃないですか。

安田

なぜ下手くそなんでしょう?

恐らく、そういうのを毛嫌う人達が集まってるんですよ。

安田

いい事じゃないですか。元はと言えば自民党が一党独裁で、お金と癒着してそうだから政権交代したわけでしょ。

そうです。

安田

「これじゃいかんだろう」ってことで、自民党を割って出た人達がいたわけじゃないですか。

そういう心意気もあったでしょうね。

安田

つまり自民党の自浄作用というか。健全な二大政党へと進むはずだったわけですよ。

そういう大義名分で小沢さんが中心になって分裂した。今は小沢さんもダメですけど。

安田

この先はどうなるんですか。何回やっても自民党が勝ち続けるんですか。

対抗するところがないですもん。

安田

確かに。ないですよね。

はい。出てくる予感も気配もないですし。

安田

なぜ対抗馬が出てこないんですかね。民主党にも頭のいい人はいっぱいいるわけでしょ。

一杯いると思いますよ。

安田

結局はこの国で大臣とか首相になろうと思ったら、自民党に入るしか方法がない。

よっぽど自民党がヘマをこかないと、もう変わらないでしょうね。

安田

いやいや。モリカケなんて「これ以上のヘマがあるのか」っていうぐらいのヘマですよ。

普通だったら終わります。あのスキャンダルで。

安田

でしょ。でもあれだけやっても盤石なんですよ。

安倍さんなんて歴代最長になっちゃいました。

安田

ネットを見ると「もうこの国は終わりだ」「この国の政治家は自分達のことしか考えてない」って散々書かれてるのに。

いざ選挙したら勝ちますからね。

安田

もう圧勝じゃないですか。さんざん文句を言いながら「今回はまあ自民党でいいか」みたいな。

ズルズルと来てますね。

安田

結局、日本人って「根底では変化を望んでないんじゃないか」って気がします。

やっぱり上の世代の人達は所得倍増計画が印象に残ってるんですよ。

安田

いつの話なんですか。

「めっちゃ豊かになった」という成功体験が残っていて、あの感覚が上の世代は忘れられない。

安田

今の自民党と全然関係ないですけど。

関係ないですけど「過去の栄光」とか「実績」とかが、やっぱり日本人は好きなんですよ。

安田

じゃあ「あの良かった時代をもう一度」って感じですか?

50代以上の人達はあの感覚を覚えているので。本来なら若者の投票を増やして上の世代を減らさないといけない。

安田

自民党はどんどん年寄りの投票を増やしてますけど。

そういうところが選挙上手なんです。


場活師/泉一也と、境目研究家/安田佳生
変人同士の対談


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第1回:「変わるもの・変わらないもの」
長い間、時間をかけて構築された、感覚や価値観について問い直します。

ブルー・オーシャン戦略は、未知の新大陸を探しだす作業ではありません。
新たなブルー・オーシャンは今いるレッド・オーシャンの中に無数に存在するのです。

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