コミュ障経営者のギモン その8「価値とは?」

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なぜこんなツマラナイものにこだわるのだろう。そういう「ちょっと変わった人」っていますよね。市川さんはまさにそういう人。でもそういう人が今の時代にはとても大事。なぜなら一見ビジネスになんの関係もなさそうな、絶対にお金にならなそうなものが、価値を生み出す時代だから。凝り固まった自分の頭をほぐすために、ぜひ一度(騙されたと思って)市川ワールドへ足を踏み入れてみてください。

価値とは?

その人の価値ってなんなんでしょうね。

・・・いきなりすいません、なんだかいつにも増して真面目な入り方でしたね。
そして、前置きなく、いきなりギモンから入ってしまいました。

というのは、僕に突然降って湧いた「価値」について考えてたんです。
あぁ、僕にこんな価値があったんだぁ!って。
「価値ある人だぞ、僕は!」って、ドヤりたい気持ちだったわけです。

先日の話なんですがね、知り合いからSNSでメッセージが届いたんです。
「フィリピンのコインランドリーについて教えて欲しい」って。

なにそれ?って感じですよね。
前回、リモートワークについての記事(フィリピン人スタッフへの愚痴!?)を書いたのでご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、僕はフィリピンにも会社を持っているんです。
その関係もあって、3年半程フィリピン(マニラ)に住んでいたんですね。

メッセージをくれた方は海外研修のお手伝いをしているらしく、マニラに滞在する人のために、洗濯物をどうするか?って考えてたみたいなんです。
ところが、フィリピンのホテルには宿泊者が自由に使える洗濯機やコインランドリーは無いので、滞在中の洗濯問題を解決するにはホテルで手洗いするか、クリーニング屋さんに持っていくしか無いんです。

そんな折、僕のSNSで、コインランドリーを使ってブツブツ言ってる投稿見かけて、「あれ?この人、フィリピンコインランドリーの達人じゃない!?」って思ったんでしょうね。
で、相談があったわけです。

まさかこんなことに価値が出るとは思ってなかったもんですから、「おいッ、散歩行くぞ!」と声をかけられた犬のごとく張り切りましたよ。
尻尾を千切れそうなくらい振る犬の気持ちってこんな感じなんでしょうね。

「なんで、こんなこと(自分)に価値が生まれたんだろう?」って不思議に思ったんですよね。
それで、今回の文頭のように、悦に入った始まりとなったわけです。

でね、考えてみたんです。
そもそも、「価値」ってなんなんだろう?って。

僕のこの体験から、やっぱりよく言われるように、価値って「需要と供給のバランスで生まれるんじゃないか」ってところにたどり着くんですよね。

つまり、「日本人でフィリピンのコインランドリーに精通している人が、その知人の周りにいなかった」ということなんです。
なので、「僕は価値ある人間なんだ!」って言ったところで、実はその人にとってある時期にだけ価値が生まれたにすぎないんですけどね・・・

フィリピン(ここでは都心部)で暮らす日本人駐在員やその家族が洗濯をどうしているか詳しく書くと文章量が多くなるので避けますが、基本的に・・・

(1)コンドミニアムに付いている洗濯機で洗う
(2)クリーニングに出す

・・・の大きく2つです。
駐在員家族の家にはメイドさんが居ることが多いので、(1)(2)共にメイドさんがやることになります。
(僕は家族でフィリピンに住んでいましたが、メイドさんも雇えず、たくましく生活しておりました・・・)

フィリピンのコインランドリーにはおばちゃんが居ます。(お店によってはもちろん男性も居る)
日本と違って、彼らに頼んでコインランドリーで洗ってもらうのです。
自分でやる必要はありません。
というのも、コインランドリーを使うには専用のコインが必要だったりするので、彼らを通さず勝手に使うことはできません。
なので、「これ洗っておいて。◯時頃に取りに来るで。」と頼むことになります。
そして、一般的には洗濯物の重量を測ってもらい、料金が記載された伝票をもらいます。(クリーニング屋さんの料金も重量で決まります)
ところが、僕くらいの達人になると、毎日行きすぎて、「あぁ、あんたか、その辺置いといてや」と伝票すら作ってくれなくなります・・・
ホントにやっておいてくれるのだろうか・・・と不安になるので、そういう雑な扱いは止めてほしいのですが、達人なのでしょうがないです。

ちょっと脱線しましたね・・・

コロナでちょっとしたパニックになった際には、マスクやトイレットペーパーの需要・供給のバランスが崩壊して、それぞれの価値がグッと高まりましたよね。
メディアで煽ればあっさり価値が高まる(下がる)というのがよくわかります。
メディアは需要・供給のバランスを意図的に操作できるので、パニックだって簡単に創り出せちゃいます。怖いですよね。

つまり、価値って「◯◯が欲しい(必要)」って需要が高まったときに芽生えるわけじゃないですか。
それが個人であろうが、集団であろうが。
なので、◯◯が具体的でない場合、まだ価値が生まれてないですよね?
例えば、「痩せたい(=肥満をいう課題を解決したい)」というのがあって、その手段・方法として具体的な◯◯がありますよね。
ジムに通う、糖質ダイエットする、一駅分歩いて通勤する・・・とか。
なので、その瞬間、その人にとって「ジム」や「糖質の低い食品」や「通勤用のスニーカー」の価値が高まったりするわけです。
何が言いたいかっていうと、具体的な◯◯が無いケースはどうなのか!?ってことなんです。
「糖質の低い食品(=低糖質ダイエットという方法)」が無かった場合や知らなかった場合、そもそも「糖質の低い食品」が欲しいなんて思わないわけですから。
これを創り出すこと、つまり「価値創造」こそが企業の役割なのかも、って思いません?(その価値創造で社会、世界がより良くなるのが前提ですが)

ピーター・ドラッカーが「顧客の創造」って言葉を使っていますよね。
僕は、◯◯を社会に提案し、新しい価値を創造することで、市場を作り出すことが「顧客の創造」なのかな、って解釈しています。
それをイノベーションって言うのかなって。

「価値創造」こそが企業の役割って書きましたが、別に個人でも良いんです。
フィリピンでコインランドリーを使ったことある日本人という価値創造が僕個人に生まれたように。
誰かの役に立てばね。

例えば、奢りたい人に奢ってもらうという、一見奇妙な切り口から価値を創造している人もいますよね。
「プロ奢ラレヤー」と名乗っている方です。
一人でご飯食べるのも寂しいなって人や、話を聞いてもらいたいって人の需要を満たしてるようなんです。
もしかするとそうした需要を持った人にとっては、プロ奢ラレヤーのように他人だから良いって側面もあるかもしれませんよね。
需要そのものはそれほど多くないかもしれませんが、そもそもこの需要を満たす供給者が極めて少ないんでしょうね、昨年末の時点ですでに2000人以上の人に奢られてきたそうです。

そう考えると、YOUTUBERも今までになかった価値を創造していますよね。
獣神サンダー・ライガーさんや船木誠勝さんのYOUTUBEチャンネルとかで当時のプロレスの裏話が聞けるというのは、僕の需要を十分に満たしていますが、興味ない人には全く無価値な情報ですからね。
スポンサーの付いたマスメディアの番組で流すほどの大きな需要は無い情報なんです。
そんな価値としては曖昧な状態や弱いのものでも、収益化できるプラットフォームを用意しているYOUTUBEってすごいですよね。
「顧客の創造」をやりまくってるわけですから。

YOUTUBERに憧れますけど、録音した自分の声を聞くと恥ずかしくて死にたくなる僕にはまだまだハードルが高いです・・・

 

著者/市川 厚(いちかわ あつし)

株式会社ライオンハート 代表取締役会長
https://www.lionheart.co.jp/

LH&creatives Inc.(フィリピン法人) CEO
https://lionheart.asia/

<経歴>
三重県の陶芸家の家に生まれる。
(僕が継がなかったので、父の代で終焉を迎えることになる…)
大学時代、遅めの中二病を発症。経済学部に入ったのに、何を思ったか「ファッションデザイナーになるんや!」と思い立ち、大学を中退。アパレル企業に就職。
ところが、現実は甘くなく、全く使えない僕に業を煮やした社長から、「Webサイト作れないとクビだからな!」と言われ、泣く(T_T)パソコンの電源の付け方も知らなかったけど、気合でWebサイト制作を習得。しかし、実際のところは、言い訳ばかりで全く成長できず・・・怒られて、毎日泣く(T_T)そんな頃、「デザインにも色々ある」と改めて気づいて、広告業界へ転職、広告制作会社のデザイナーとしてのキャリアをスタート。
「今度は言い訳をしない!」と決めて仕事に没頭し、四六時中仕事していたら、黒目がめくれ上がってきて、眼科医から「失明するよ」と言われ、ビビる。2004年勤務先で出会った同僚や友人を誘って起業、有限会社ライオンハートを設立(現 株式会社ライオンハート)。ところが、創業メンバーとあっさり分裂、人間不信に。残ったメンバーと再スタート。
2014年、設立10周年を機に、創業メンバーで唯一残っていた人間を日本法人の社長にし、自身は会長になり動きやすい状態を創る。この頃からブランディングエージェンシーを名乗り始める。
2016年、フィリピン(マニラ)にITアウトソーシング企業(LH&creatives Inc.)を設立。設立準備期間から家族とともに移り住み、フィリピンで3年半を過ごす。
フィリピン人マネジメントを通して、猜疑心の塊になり、性悪説に変わる。
2019年6月、日本に帰国し、日本法人のマネジメントに復帰。社内コミュニケーションを充実させるために席替えしたり、誰も掃除しない椅子をきれいにしたり、「眠いときはしゃべった方が良いよねッ」ってスタッフに話しかけながら仕事をするなど、独自のインナー・ブランディングの理論を実験していたところ、会社の調子が上がった。そもそもブランディングってなんだ?と思っていたところに、BFIの安田さんと出会い、勝手にご縁を感じてコンサルを受けてみる。そしたら安田さんに誘われ、2020年、anote konoteに参加することに。

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