原因はいつも後付け 第62回「どうすれば売れるのか?」

 // 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 //
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

《第62回》どうすれば売れるのか?

さて今回はシンプルに、売上に悩むオーナーさん達が一番考えているのではないかという問いについて考えてみたいと思います。
それが「どうすれば売れるのか?」という問い。

これは私自身が創業当時に考え続けていたことであると同時に、現在も開業されたオーナーさんから一番多く聞かれることでもあります。

このコラムを読んでいただいている方の中でも、販売に関わる仕事をした経験のある方であれば、少なくともこれまで1度は「どうすれば売れるのか?」と考えたことがあるのではないでしょうか?

そんな多くの人が考え続ける、この「どうすれば売れるのか?」という問い。
ただよく考えてみると、何だか実はこの問い自体がおかしいんじゃないか、という気が私にはしてくるのです。


《商売の順序》

「どうすれば売れるのか?」という問い。
そんな問いに対して、私が「この問い自体がおかしいのではないか」と考える理由。

それは、商売を考える順序。

これはどういうことかと言うと、「どうすれば売れるのか?」と誰かに答えを求める人は多い一方、「どうすれば相手に喜んでもらえるか?」と聞く人は少ない、という事です。

商売とは相手がいてこそ成り立つもの。
だから「自分が売れる理由」と「相手が喜ぶ理由」という、この2つは繋がっていないとおかしいはずです。

にも関わらず、創業当時の私を含め、売上を伸ばすことに悩むオーナーの多くは「どうすれば売れるのか?」という自分のメリットばかりを考え続け、「どうすれば相手が喜ぶか?」というお客さんのメリットを考えることを後回しにしてしまっている気がするのです。

《先に考えるべきもの》

「自分が売れる理由」と「相手が喜ぶ理由」。
商売において、この2つのどちらを優先して考えるべきかは明確でしょう。だから私たち商売をする人間は、自分のことを考える前に相手のメリットを考える必要がある訳です。

「どうすれば売れるのか?」という問い。

この答えを見つけたいと思うのなら、集客方法や販売のテクニックと言った自分のことよりも、まずは相手のメリットを先に考えること。

商売は「相手が喜ぶから自分が売れる」というのが正しい順序であり、決して「自分が売れたら相手が喜ぶ」という順序ではないと言うこと。

この順序を間違えて自分のメリットである「どうすれば売れるのか?」を先に考えている限り、私たちがこの問いに対する答えにたどり着けることなんてないと思うのです。


お店の儲けを最優先に考えたモデルでオープンした2号店。(2003年当時撮影)
結果は大失敗。自分のことばかり考えた商売はうまく行かないと、この時学びました、笑。

 

著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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