第88回 あみだくじと集客

 // 本コラム「原因はいつも後付け」の紹介 //
原因と結果の法則などと言いますが、先に原因が分かれば誰も苦労はしません。人生も商売もまずやってみて、結果が出たら振り返って、原因を分析しながら一歩ずつ前進する。それ以外に方法はないのです。28店舗の外食店経営の中で、私自身がどのように過去を分析して現在に至っているのか。過去のエピソードを交えながらお話ししたいと思います。

100のスタート地点に対して1つの当たりしかない「あみだくじ」があったとします。
この中から当たりに繋がる正しいスタート地点を見つける、一番手っ取り早い方法は何か?

それは当たりというゴールをスタート地点にして、あみだくじを逆に進むことです。

「そりゃあ、ゴールが分かってるならそうするよ。」
「何をそんな子供でも分かることを偉そうに言ってるのか?」と思われるかも知れません。

そうなのです。
私が言ってるのは、ごく当たり前のこと。

ゴールが分かっているなら、誰でもできるスタート地点の見つけ方。
それが「ゴールから考える」こと。

でもなぜか商売になると、私たちはこのスタート地点の見つけ方を忘れてしまいがちな気がするのです。


商売を成功に導く重要な要素の一つである「集客」。
この集客をあみだくじに置き換えた時のゴールとは何なのか?

それは、「お客さんがお店に来ている状態」と言えます。

つまり、今お店に来てくれているお客さんこそがゴールであり、ゴールから逆走すればスタート地点が分かると考えるのであれば、今お店に来てくれているお客さんにこそ、集客の正しいスタート地点を見つける答えがあると言えるのではないでしょうか?

確かに商売は、紙に書かれたあみだくじほど単純なものではないかも知れません。
でも目に見えず、決して単純ではないあみだくじだからこそ、余計にゴールから逆算して考える必要があると思うのです。

集客は「お客さんが来ている理由」から考える必要があるということ。

逆に、「お客さんが来ない理由」から考える集客とは、あみだくじに例えるなら、無数にあるスタート地点から手当り次第にゴールの当たりを探す作業に近く、それぞれのスタートを試すにもお金と時間がかかる以上、これでは当たりに辿り着く前に商売の体力が尽きてしまう可能性もある訳です。

ゴールが分かっているなら、誰でもできるスタート地点の見つけ方。

それがゴールからの逆走であり、目の前にいるお客さんが来てくれている理由を考えることこそが、確実な集客のスタート地点を見つける方法なのだと私は思います。

 

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著者/辻本 誠(つじもと まこと)

<経歴>
1975年生まれ、東京在住。2002年、26歳で営業マンを辞め、飲食未経験ながらバーを開業。以来、現在に至るまで合計29店舗の出店、経営を行う。現在は、これまで自身が経営してきた経験をもとに、これから飲食店を開業したい方へ向けた開業支援、開業後の集客支援を行っている。自身が経験してきた数多くの失敗についての原因と結果を振り返り、その経験と思考を使って店舗の集客方法を考えることが得意。
https://tsujimotomakoto.com/

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