さよなら採用ビジネス 第58回「大企業革命が起こる日」

この記事について

7年前に採用ビジネスやめた安田佳生と、今年に入って採用ビジネスをやめた石塚毅による対談。なぜ二人は採用ビジネスにサヨナラしたのか。今後、採用ビジネスはどのように変化していくのか。採用を離れた人間だけが語れる、採用ビジネスの未来。

前回は 第57回『大企業は外資化する』

 第58回「大企業革命が起こる日」 


安田

え!大企業って、法人税をちゃんと納めてる会社のほうが少ないんですか?

石塚

少ないですよ。

安田

国を支えるためにたくさん払ってるイメージですけど。

石塚

これ、対談で話していいのかな。本当に刺される気がするんだけど(笑)

安田

ぜひ話してください!

石塚

メガバンクって税金どれぐらい払ってるか、ご存じですか?

安田

結構利益出てるんですから、5,000億ぐらい払ってるんじゃないですか。

石塚

と思うでしょ?みなさんそう思ってるんだけど、あんまり払ってないんですよね。

安田

「あんまり払ってない」っていうのは2,000億ぐらいってことですか?

石塚

いや、もっとぜんぜん少ないです。「実効税負担率」が著しく低い企業ってやつです。

安田

そうなんですか!

石塚

某メガバンクは2013年、2014年の2期でわずか600万円しか法人税払ってない。税引前利益が3兆3700億円もあったんです。実効税負担率は驚愕の0.002%です。

安田

じゃあ日本で払わずに、どこか別の国で払ってるってことですか?

石塚

おっしゃるとおり。ソフトバンクやユニクロやアステラス製薬もそう。日本で払ってる法人税なんてビックリするくらい少ないんです。

安田

税率の安いところで払っちゃえと。

石塚

当然それは考えますよね。

安田

今後、大企業がほぼグローバル化していくわけじゃないですか。トップも日本人じゃなくなって、資本も外資がどんどん入って来て。

石塚

はい。そうなるでしょうね。

安田

じゃあ日本で税金を払う大企業はどんどん減っていくと。

石塚

その通りです。Amazonだって1円も日本に税金払ってない。

安田

え!1円も払ってないんですか?

石塚

現行の法律では徴税しようがないんですよ。

安田

でもこれ、日本に限った話ではないですよね。

石塚

おっしゃるとおり。アメリカもEUも先進国はみんな問題になってます。

安田

税率の安いところに拠点を置いて、そこで払うってことになっていきますよね。

石塚

いわゆるタックスヘイブンといわれるヤツです。衝撃的な未来も予想されています。

安田

衝撃的な未来?

石塚

国家とか、社会とか、インフラの枠組みそのものが変わってしまう。

安田

え?どういうことですか。

石塚

たとえば電子決済が当たり前になって来たら、サイバー資本主義が進んでいくと言われています。

安田

サイバー資本主義ですか。

石塚

はい。それが進んだら、どうなるか誰も予想がつかない。国の概念がひょっとすると変わるかもしれない。

安田

国がなくなるってことですか?

石塚

だって税金が集まらなくなったら、成り立たないですよね。

安田

国が税金を集めて「社会インフラを作る」という制度自体がなっていくと。

石塚

そういう可能性もありますよ。今のままだったら。

安田

何が問題なんですか?

石塚

実はちゃんと法人税・事業税を納めてるのは優良中小企業だけなんですよ。まあ国税当局はわかってるでしょうけど。

安田

でも大企業保護という流れですよね。今は。

石塚

いずれ「国は優良な中小企業を守れ。もっと応援しろ」って話になると思います。

安田

中小企業にとっての追い風が吹くと。

石塚

そうならなきゃいけない。大企業がグローバル化すると「一体税金どこで納めんの?」って話になるので。

安田
中小企業が国家の中心になってくる?
石塚

そういうところから、しっかり税金を回収するしかない。

安田

それで回るんですかね、この国は。

石塚

税収は減っていくでしょうね。だから福祉とかも見直さなきゃいけない。

安田

いっそのこと、もう消費税だけにしちゃうとか。

石塚

そうなる可能性もあると思います。

安田

企業からお金を集めにくい時代になりましたからね。

石塚

高福祉国家と言われるスウェーデンなどは、消費税で成り立ってます。

安田

スウェーデンは消費税何%なんですか?15%ぐらい?

石塚

30パーセントです。

安田

え!そんなに。

石塚

でもみんな安心して払うんですよ。「いずれこの税金は、自分たちに回ってくる」と思ってるから。

安田

病院も大学も無料ですもんね。

石塚

はい。「そのかわりに高い間接税をちゃんと払います」っていう国のつくり方。日本もそうするのかって話ですよね。

安田

金持ちへの優遇だって怒る人が出て来そうですけど。「お金持ってる人がたくさん払え」って。

石塚

でも間接税はある意味公平なんですよ。使った人が使った分だけ払う。払いたくなかったら使わない。

安田

そうですね。使わなきゃ取られないわけですからね。

石塚

いずれにしても、このままでは日本国の運営は成り立たないです。

安田

大企業がグローバル化する流れって、もう止められないんですか?

石塚

無理ですね。国内市場だけではやっていけないので。

安田

その場合、働いてる人はどうなるんですか?いまは日本の法律に守られてますけど。そこも変わっていくってことですか?

石塚

変わると思います。

安田

日本の労働法から外れちゃう?

石塚

日本で働いてる間は日本の国内法が適用されるでしょうけど。より契約社会になっていくでしょうね。

安田

もっとドライになるってことですか?

石塚

「何をやるからいくら払う」というのがもっと明確になるし、休暇もきちんと取るようになるでしょうね。

安田

もしそうなった場合、今リストラ対象になってる給料の高いおじさんたちはどうなるんですか?

石塚

切られますね。まず異動を出されるでしょうね。

安田

海外の辺鄙なところに?「不当だ」って訴えられそうですけど。

石塚

まあ外資になったら「笑止千万」って感じですけどね。

安田

それって、どれぐらいのスパンで起こるんですか?

石塚

まずここ数年で合併や統合が増える。次に外資への組み入れか、外資の参入がものすごく増える。

安田

で、トップが入れ替わる?

石塚

入れ替わる。そうすると、短期間で異動や配置転換がたくさん起こる。

安田

10年ぐらいで徐々に変わっていく感じですか。

石塚

いや。短期間で一気に変わるでしょうね。

安田

ある日、突然?

石塚

ある日、突然、パラダイムが変わるんですよ。大企業に革命が起こるんです。


石塚毅
(いしづか たけし)
1970年生まれ、新潟県出身。前職のリクルート時代は2008年度の年間MVP受賞をはじめ表彰多数。キャリア21年。
のべ6,000社2万件以上の求人担当実績を持つ求人のプロフェッショナル。

安田佳生
(やすだ よしお)
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。

 

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