安定の境目

ひとつの会社で働き続けることは、
安定した人生に繋がっているのか。
かつては繋がっていた、
という表現が正しいだろう。
今ではその道はゴールの
はるか手前で終わっている。

先に進もうにも道がない。
道なき道を進むにはスキルがいる。
道具がいる。体力もいる。
そうなってからでは、
もはやお手上げなのである。

道なき道を進む準備と覚悟。
それを備えておくことが
安定した人生には欠かせない。
これは会社員に限った話ではない。

経営者も、会社も、
安定を求めるのなら、
不安定への備えが必要だ。
だがほとんどの会社、
ほとんどの経営者は、
その準備をしていない。

その結果、
終身雇用を信じている社員と同様に
道を失うことになる。
何度もいうが、
そうなってからでは遅いのである。

安定と不安定。
皮肉なことにその境目は己の中に存在する。
安定を求めることが不安定を生み出し、
不安定を求めることが安定を生み出すのだ。
たとえば新規顧客とリピート顧客。
安定をもたらすのはどちらだろうか。

普通に考えればリピート顧客である。
顧客が定着せず、
常に新規開拓しなくてはならない状態を、
安定した状態だとは言い難い。
ではリピート客だけで成り立っている
ビジネスは安泰なのだろうか。

ここに安定の自己矛盾が生まれる。
必ず発注してくれる常連の取引先。
これまでも取引は続いて来たし、
これから先も続いていくだろう。

そう考えて経営しているとしたら、
これほど不安定なことはない。
もし取引先が潰れたら、
もし取引先がルールを変えたら、
道はそこで終わる。

安定した顧客との安定した取引。
それを嫌がる経営者はいないだろう。
だからこそ危険なのである。
多くの経営者はここに居着いてしまう。
武術では居着くことが最も危険な状態だとされる。
経営もまさに同じである。

顧客がリピートしてくれることはもちろん望ましい。
リピートこそが利益の源泉なのだ。
だがそこに居着いてはならない。
意図して顧客を入れ替えること。
それこそが真の安定をもたらすのである。

もちろんリピート顧客を
否定しているわけではない。
顧客が戻ってくることは
成功するビジネスの鉄則である。
リピートしてもらうための努力。
それと同時に顧客を入れ替える努力をする。

短期的には常連客に囲まれているように見えるが、
中長期的に見れば顧客が入れ替わっている。
流動的な安定顧客。
安定の中の不安定が、
真の安定をもたらすのである。

 


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