スケールを手放すとき

24時間働けますか。
このリゲインのCMを国民が
すんなり受け入れていた時代があった。
残業は当たりまえ。
徹夜する日々もまた心地よい。
ハードワークこそがジャパニーズ
ビジネスマンの誇りだった時代。

だがその時代はもう終わった。
今こんなCMを流したら、
大炎上したのち会社は謝罪に追い込まれ、
株価は大暴落してしまうだろう。
正しいことの定義は時代によって
様変わりするのである。

大きいことはいいことだ。
このチョコレートのCMも
当時はなんの疑問もなく受け入れられた。
だが今は大きいことがいいことだとは限らない。
大きくなりすぎてしまった会社。
店舗を増やしすぎてしまった外食チェーン。
それらが次々と経営危機に追い込まれている。
ここにも時代の変化が見える。

もちろん今でもスケールメリットは存在する。
大量に仕入れ、大量に作り、大量に販売する。
物量が生み出す価格競争力は凄まじい。
1位になった会社が世界中の
市場利益をほぼ独占できる。
だがその競争にも終わりが見え始めて来た。

車、家電、パソコン、スマホ、金融などなど、
あらゆる業界で1位が確定してきた。
最終的に生き残れるのはせいぜい3位まで。
残りはその3つのどこかに
グループとして取り込まれていく。
大きくすることによって勝つという時代が
終焉を迎えつつあるのだ。

これは企業経営だけの話ではない。
たとえば人口問題もそうだ。
世界の人口は増え続けているが、
日本の人口はすでに減り始めている。
人口増加による労働力と市場の拡大。
ここにも限界が見えて来た。

減った人口をどうやって増やすのか。
皆が躍起になってこの問題に取り組んでいる。
だがそれは問題の本質ではない。
日本のみならず世界においても、
未来永劫人口を増やし続けることなど不可能なのである。
拡大するという戦略には必ず終わりがくる。
それが自然の摂理というものだ。

人口が密集する都心には魅力がある。
人口が増えている国には活気がある。
社員が増え続け、どんどん規模が拡大する会社には、
エネルギーが満ちている。それは事実だ。
だからこそ人間は酔いしれてしまうのだ。

大きくすることに。
スケールという言葉に。
小さな仕事をコツコツとやり続ける。
規模ではなく仕事のクオリティーを追求する。
そこに生きがいを感じられる人は少ない。
だが間違いなく時代はそちらに向かっていくだろう。
スケールという酒を手放すときが近づいている。

 


尚、同日配信のメールマガジンでは、コラムと同じテーマで、より安田の人柄がにじみ出たエッセイ「ところで話は変わりますが…」と、
ミニコラム「本日の境目」を配信しています。安田佳生メールマガジンは、以下よりご登録ください。全て無料でご覧いただけます。
※今すぐ続きを読みたい方は、メールアドレスコラムタイトルをお送りください。
宛先:info●brand-farmers.jp (●を@にご変更ください。)

 

どうすれば企業は生き残っていけるのでしょうか。私は今後、中小企業の経営は二極化していくと予想しています。それは「人を雇い続ける経営」「人を雇わない経営」です。

*私自身の経験を元に相談に乗ります。
*相談は無料(もしくは食事代)です。

感想・著者への質問はこちらから